ベタで無難なお話です。
日本の心の一部が感じられます。


淡々と、小さなエピソードが展開します。
時間軸を考えても、10年ほどの物語なのですから、エピソードが矢継ぎ早になるのはしかたありません。
2時間程度という制約からも、エピソードの取捨選択も必要だったのでしょう。


都会しか知らない人には、理解しがたいエピソードが多いです。
田舎生活の経験や憧れがない人にとっては、実話ベースであろうが、リアルさは感じられないと思います。


現代の明広とクロスオーバーするシーンが何回かあるのですが、余分に感じました。


本作のウリは、ばあちゃんのセリフであり、ばあちゃんと明広の掛け合いです。
まるで、漫才のようです。
セリフのテンポがよく、油断がさせてくれません。


がばいばあちゃんを演じるのは、吉行和子さんです。
プレッシャーを感じますね。スクリーンから威圧してくるような演技です。
円熟ともいえる演技で、全編通してスキのない芝居でした。


原作よりも、ソフトな仕上がりで、”がばい”ぶりがマイルドになっています。
もっと、”がばい”エピソードを連発させたほうが、クライマックスのセリフに重みを感じられるようになるのではないでしょうか。


映画としてはもうひとつのデキですが、お話としては、とてもいいデキだと思います。


ばあちゃんのポジティブシンキングには、学ぶべきところがあると思います。


たまには、こんな映画もいかがでしょうか。


監督:倉内均 脚本:山元清多、島田洋七 (2006年)