第3回香港国際ピアノ・コンペ*マスタークラス*シューマン「ソナタ1番」 | 心と体をラクにするピアノ奏法

心と体をラクにするピアノ奏法

ピアニストでピアノ講師の荒井千裕が
ピアノの奏法、呼吸法、身体の使い方をお届けします。

第3回香港国際ピアノ・コンペティションの審査員によるマスタークラス初日の三人目(私が聴講した三人目であって、実際は本日の四人目です)。

講師はChristina Ortiz女史。
$荒井千裕*音の綴り-ortiz

この日、最後の受講生は高校生くらいの女子による
シューマン「ソナタ第1番」Op.11

シューマンは、ジャーマン。
非常に!ジャーマンなんだよ。

$荒井千裕*音の綴り-11102520

左手は伴奏、右はステイトメント。

だけど、「Not Loud!」

左は流れ出、「フォドララドファ」の「ファドララ」が大事。


右手、「ドファー」声明→「ドレー」→「シラー」→「ソファー」で、
これで「終わり」ではなく、まだ、次がある事をわかって弾く。



$荒井千裕*音の綴り-11102521
ここでは左右が逆転。
右手はトップ音の連打をきちんと聴かせる。
右手は「Warm」なんだよ。



$荒井千裕*音の綴り-11102522
右手のオクターブ・フレーズは、上の音を出すのは基本だけれども、
では何故、ココはオクターブになっているのか?

それを考える。

オクターブのサウンドが欲しいからだよね。

ここの左手も、それまでと同じように、きちんとトップ二音を聴かせる打鍵をする。



$荒井千裕*音の綴り-11102523
ココから、右手の第3拍、「ラーッラ」からは、New !!!
ここからのフレーズは大きい(長い)ので、いちいち、終わらないように!



$荒井千裕*音の綴り-11102524
poco accelerando だよね?
Not too much !!!



$荒井千裕*音の綴り-11102525
手首を使って!>左手

アクセント音はクリアにするために、ペダルも踏み替えて。

ラストの全音符は、ペダルは気をつけて。

一つ目の全音符の時は、ペダルを入れて、でも、
右手は音を抑えたまま、左手は打鍵後離す。

そして左手の最後の全音符打鍵直後にペダルを上げる。

右手は打鍵したままの指を残した状態で音を残す(つなげる)。



$荒井千裕*音の綴り-11102526
Not too Fast !!!

アジタートしていくけれども、
テンポが大事。

イン・テンポを貫く事が大事!


イン・テンポとは、拍頭のタイミングの事。

例えば画像に段目3小節目からの
「しど|れーれどしーしら・・」
その、第1拍の「れー」の打鍵のタイミングだ。

「しど」は、次の拍頭である「レー」に向かって行ってる、

という事だ。
(常々師匠が仰る事と同じ。)




$荒井千裕*音の綴り-11102527
右手「ふぁそ|らーらそふぁーふぁみ」は、トップ音は
Louder にする必要があるけれども、でも、
F# minor の響きが必要。

その三音(和音の一つ一つの音の響き)が大事!



$荒井千裕*音の綴り-11102528
全ては、ノー・クレッシェンドで、力はセーブしておくこと。



$荒井千裕*音の綴り-11102529
右手16分音符の「そら|しどしど・・・」は、
ピアノ(p)の中のクレッシェンドだよね?

それはね、「内なるものは、フォルテのエナジーで」って事だよ。



$荒井千裕*音の綴り-11102530
右手は常に、「拍頭」に向かう。

でも、Not Romantic。

ただ、リズムを明確にするだけ。

ストロングに、リズミカルに!

つまり、右手の重音連打に問題がある。
これを、非常にクリアに打鍵する。

決して、流して弾かない事。



$荒井千裕*音の綴り-11102531
ここは右手、スフォルツァンド音に、ちゃんとノる!向かう!

スフォルツァンド音にペダルを入れる!



$荒井千裕*音の綴り-11102532
ただの、Piu lento だよ!

ペダルなしで!

ジャーマンは、Fix Tempo である事が非常に大事。

フレーズの終わりは、リタルダンドなしで(その指示がない限りは)!

リタルダンドではなく、ただの「ニュアンス」だよ。



$荒井千裕*音の綴り-11102533
un poco ritenuto は、slower で伸びて行くのではなく!
テンポが然に落ちて行く、という事だ!

次のテンポに向かって。


それから、トップ音だけに集中しないと、五月蝿いよ!



$荒井千裕*音の綴り-11102534
あのね、何のエディションを使ってるのか知らないけど、
これ、F#じゃなくて、Fだよ!

そしてこのフレーズの終わりはやはり、リタルダンドなしで。

ただ、A Major に変わって行く、という気持ちの問題だ。



$荒井千裕*音の綴り-11102535
ただ音を、A Major を楽しむだけでいいんだよね。
テンポは決して引っ張らない事。



$荒井千裕*音の綴り-11102536
(画像、ぼけちゃってスミマセン!)

絶対に!遅くならない事!

各フレーズの終わりは、遅くしないで!



あぁ、まだまだ言いたい事はいっぱいあるけれど、

タイム・リミットだわ!

とにかく、自分の音を良く聴きなさい。

そして、曲の構築をよく考えなさい!



(あぁ、まるで私がいつも師匠に言われている事のよう....でした)