ちぃ~の頭ン中


今回はこのコーナーでコンスタントに取り上げる斉藤綾子さんです。



「結核病棟物語」は、その名の通り、著者の実体験を元にした私小説。



ハタチのうら若き女学生が結核にかかり、いきなり病院にかつぎ込まれる!!そこで出会うのは、いじわるババア、死にかけババア、ぼけババアばっかり...



しかも見舞いに来てくれた年上(実は妻子持ち)の彼は親友とデキちゃうし、主人公は主人公で男性入院患者にホの字(ていうかムラムラはてなマーク)...



と、斉藤綾子さん流に漏れず、終始一貫してコメディ調に描かれてはいますが、



若く健康で「死」とは非常に遠いところにいたハタチの女子大生が、結核病棟という場所で「死」を間近に見る...



「死」と対極にある「生」。それの発展系ともいえる「性」と、非常にヘビーなテーマにチャレンジした作品でもあります。



しかしどんなにヘビーなテーマでも、あっけらかんとした、妙な爽快感さえ感じる文体のおかげで、読んでいるほうはヘンに深刻にならず、最後までイッキに読み通すことができる。



これが斉藤綾子文学なんですねー。



解説には「最後の抵抗文学」なんて書かれていますが、確かに愛のある・なし、付き合っている・いない、男・女(この方バイ○クシャルです)に関わらず、



ヤリたい時にヤリたい相手とヤリたいだけヤる主人公は一般のモラルとは大きくかけ離れているし、不快感をもよおす人もいるのかもしれません。



でも「反社会的」な内容をあっけらかんに描く作家さんって、たくさんいますよね。太宰治とかもそうだけど。



ただ太宰の場合はどこか人間として軸がブレているというか、ヤケになっちゃって女と心中したりクスリにハマってみたりって感じだけど、斉藤綾子さんの場合はそうじゃない。



別に何かを抱えていてセ○クスに逃げてるわけじゃなく、自分が好きなことを好きなようにしている、それがたまたまセ○クスなだけであって、「反社会的」な生き方を堂々としている...



そういう感じが文章から伝わってくるから、「ま、世の中広いんだし、一人ぐらいこんな人がいてもいいんだろうな」ていう気にさせられちゃうんですかね。



そんなわけで千姫は中学の頃から斉藤綾子ファンです(^^)



評価は☆4つ。サックリ読めるしあっさりとした口当たりで結構エロいけど、裏にとてもヘビーなものが隠されている...



「化石みたい」な病気である結核を通してもっと深いものも知ることができる、とてもおトク感のある小説でした(^^)