「生まれて初めて苺ジャム缶を空にしたと、 桐野夏生『東京島』」S4118
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■生まれて初めて苺ジャム缶を空にしたと、 桐野夏生『東京島』
苺のショートケーキ、苺ミルク。
子供のころから苺は大好物だが、苺ジャムだけは駄目だった。
幼稚園のころの記憶はほとんどないのだが、
給食に決まって、食パンと苺ジャムが出てきて、
周囲は喜ぶのたが、
こんな甘いだけの子供だましみたいなもののどこがいいのか。
と、毎日思っていた。
大人になって富良野とか行くじゃない。
そこでジャムとか売っていて、
その土地の風土手で、たまに食べると美味しいものだから、
苺ジャムに関わらず、ついお土産で買っていくも、すべて無駄にした。
過去、
ジャム缶を空にしたことはなかった。
それがね、最近、桐野夏生の『東京島』を読んだんですよ。
桐野夏生って、本名・橋岡まり子(65歳)、女流作家で、『OUT』とか書いた人ね。
桐野夏生って、基本的に男が聞きたくない、女の男への恨み節、女・人間の本性、本能を赤裸々につづる作家で、自分の感性とはあまりシンクロしない。
『東京島』も、一応、目を通しておこうと、そんな感じ。
あらすじは、無人島に漂流した女が、男ばかりの島で、一人の女が性を武器に逞しく生き抜いていくサバイバル的なストーリー。
あまり目から鱗的な部分はなかったのだけど、ひとつだけ。
女の夫が晩年、記した日記の箇所。
~今日の私が一番食べたい物は、苺ジャムを厚く盛った食パンです。
苺の粒が歯に挟まる感触、そして食パンの柔らかさを思い出すと、切なさに身震いするほどです。
苺ジャムはコンビニで売っているような不自然に赤い色をした低級品で結構。
保存食でありながら贅沢な食品でもあるジャムは素晴らしい。
質はどうであれ、真っ白な砂糖を大量に消費して作られたジャムはまさしく文明です。
この際、使用するパンは山崎の六枚切り食パンに限ります。~
これを読んで自分から食べたくなったもの。
苺ジャム一瓶と、
山崎の6枚切りの食パンを買ってきて、東京島の島民の気持ちになって食べた。
本を読みながら、二日で初めて、苺ジャムを空にした。
蛇などを採って食べるシーンも書かれているのだけど、
蛇も美味しそうだなと思っちゃうもんね。
やっぱり環境、そして追い詰められないと、本当に欲する物はわからないなと。
でも、駄目なものは駄目ですけどね。
ついでに、木村多江主演で、映画も公開されていますが、
ネット上では酷評です。
自分も見ましたが、誰も得をしない内容でしょう。
こういった非現実状態におかれた、
人間の深層心理がつづられた本を
二時間程度の尺で映像化しようとする自体に無理があると思いますけどね。
それにしても、『東京島』の第二章-1の「奇人」の苺ジャムからバターの件は美味しそうでした。
自分にとっては良質なグルメ本だなと。
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