奇跡の一本松について | 剣町柳一郎の本棚

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ビニールの餅、樹脂のもみの木・クリスマスツリー、
ホンコンフラワー、
そのまがい物のひとつに加わった、フクシマの一本松である。
一億五千万円の模造品。希望を託すにしては、
姿形が似ていればいいという問題ではないはずだ。
あきらかに、アートとしてのモニュメントでもない。
では、あれはいったい何なんだ。
今の日本をみごとに象徴しているように思える。
樹脂で固めた松、いやあれは松もどきである。
立ち枯れてしまったことは事実で、残念だが、
樹脂で固めた松を見て、住民の声に「あの松にかける金があれば、
より多くの仮設住宅をつくってくれ」という声も上がっている。
もっともなことだと思う。残念ながらも、模造の松は
寄付金ゆえに、文句はつけられない。
しかし、模造品で希望を捉まえることはできない。
枯れないかわりに、大きくもならない。枝も茂ることはないからだ。
模造品はまことの文化ではない。むろん、自然ではない。
誰もがわかっているはずなのに、保存・復元が
手っ取り早いということでくみやすかったのだろう。
模造品はどんなに似せても本物ではない。
福島の人々の気持ちはわかるが、模造品で癒やされるかという
気概も持って欲しいと願うのだが。
おせっかい過ぎるだろうか。