興起くんがボクサーパンツ一丁で私の席に駆け込んできたのは、巨大地震原発事件から21時間ほど経った頃のことだった。
「ミチコぉ、これを見てくんしゃい」
「きゃあ興起くんのえっち!」
と言いつつ、私はボクサーパンツのモッコリを、指の隙間からチラチラ見ていた。
あの布の下に、興起くんのカリブトデカマラが……。
「ワイも大人だから、とうとう白ブリーフを卒業したんや」
そう言いつつ、モッコリをピクピクさせる興起くん。
ああ、立派ね……。私のデルタ地帯もしっとりと湿ってきたのだった。
「いや、そうやないんや。この手紙を見てくれんしゃい」
「え、なに?」
興起くんが一通の封書を手渡してきた。表には「亀田興起様」と書かれており、差出人の名前は書かれていなかった。
「どうしたの、この手紙」
「まぁ読んでみてくれへんか」
「うん……」
封筒の中には一枚の便箋が入っているだけだった。
拝啓 亀田興起様
iPhoneを買ったのに、友達がいないからtwitterを誰もフォローしてくれない昨今、いかがお過ごしでしょうか。
さて、突然ですが拙宅をリフォームいたしました。
それを記念してささやかながらパーティを開きたいと存じます。
七月二十五日から二十七日まで、泊まりがけでウチに来い。
来ないとお前のパソコンにウイルス送る。
では。
ビッグパソコン館 案内係より
「誰これ」
「それがさっぱりなんや。なんか心当たりあるか」
「あ、きっと泉ピン子よ」
「そうか、きっとソイツや」
手紙の下には簡素な地図が載っていた。どうやら東京都の池袋というところにあるらしい。
「池袋ってどこかしら」
「聞いたことあらへんがな。きっと田舎に違いない」
そのとき、私の後ろから忌々しいあの声が聞こえてきた。
「ミーチコちゃん、おはよお!」
それは私をいじめてやまない由美子のものだった。由美子の隣にはニヤニヤ顔のカオルもいる。
すると由美子は私の頭にヌルっとしたものを掛けてきた。
「どう? 今日はひきわり納豆よ。おいしいでしょアハハハ」
私は怒りとみじめさに震えていた。そこに興起くんの怒声が。
「こぉらっ! なんばしよっと!」
「な、なによ。なんか文句あんの!?」
「食べ物を粗末にしたらアカン! 食べ物に謝れ!」
「はいはいすみませんでしたぁ」
「よし、りっぱな謝罪や。どやミチコ、スっとしたやろ」
いやぜんぜん、とは言えなかった。
「そんなことより、あなたたちもその招待状受け取ったの?」
とカオルが急に話に入ってきた。
「え?」
「アタシと由美子ももらったのよ、ビッグパソコン館の招待状を」
「な、なんで」
「さぁ、知らないわ。でも行くつもりよ。面白そうじゃない、パーティなんて」
由美子もそれにうなづいて続ける。
「きっとそこの館の息子さんが私に一目惚れして、恋が始まるのよ。逆タマよ。逆金タマよ」
「それに夏休みだしね。興起さんも、もちろんいらっしゃるわよね。そしたら三人でイイコトしましょうね」
「うおっしゃ! 3Pや! ワイのデカマラを左右から舐めんしゃい!」
興起くんのボクサーパンツがまたもやモッコリして、先走りで濡れまくっていた。