A:インタビューなどでいつもジャズアルバムを出すことに触れてますよね。
KM:実行に移っていないプロジェクトは沢山あるわ。“Kylie Sing Blossom”(アメリカ人ジャズ歌手のブロッサム・ディアリー)ってアルバムを出したいと思ってて、実は彼女が亡くなる前に会うことが出来たの。そのときはすでに病状が悪化していたから、とても悲しかった。でも何としても会いたかったから、探してついに見つけ出したの。彼女にピアノを弾いてもらいたいとも考えていたわ。それで彼女の歌を何曲かレコーディングして、素晴らしい出来になったから「White Diamond」のサウンドトラックにそのうちの2曲を収録した。アコースティックアルバムを作ったりアコースティックのパフォーマンスをするのも楽しそう。アンチ・ツアーやファイブ・ナイト・ラン(5日間限定ライブ)みたいなものもよく考えるわね。例えばソーホーでパフォーマンスしたり、ツアーで一度もやったことのないファンのお気に入りの曲をやるの。まぁ単なる遊びみたいなものだけど…
A:そうなったら、どの曲を歌いたいですか?
KM:「Drunk」みたいな「Impossible Princess」時代の曲を少しパワーアップさせてやれたらいいわね。
A:そうなると来年辺りに実現できそうでしょうか?
KM:そうね、今までに行った所は全部回りたいわ。(2011年はワールドツアーがあるから)続けて2年間もツアーをやるのは嫌だけど、そうなりかねないわね。
A:昔からあなたは熱心なゲイのファン達と良い関係を築いて…。
KM:はっきり言っちゃって。ほらほら。
A:あなたに見せたいものがあるんです。これ、僕が12,11歳のときに「I Should Be So Lucky」で買ったカイリーTシャツ。
KM:ちょっと!これ!あなた(囁きながら)、買ったの?このサイズ見てよ!オー・マイ・ゴッド!すごいわ!もう…涙が出てきちゃう。なんてことなの!
A:これを見てどう思いましたか?
KM:息が出来ない。感無量よ。これ以上何が言えるって?
A:このTシャツを見せたかったのは、あなたがゲイ男子と築いてきた関係を表す良い例だと思ったからなんです。今だ大事に僕が持ってるということがね。どうしてこの関係が出来上がったんでしょう?
KM:いつもそう聞かれるのよね。
A:いつもそう聞かれてますよね!
KM:もう私の返事は聞き飽きてるでしょう。本当にわからないのよ。自然な成り行きだったんじゃないかな…私たち結ばれる運命だったんだわ。
一生懸命曲作り。
A:ルーファス・ウェインライト(*)はあなたを“ゲイにとっての喜び”となぞらえました。
(*)この後8月にウォーターミルで共演。
KM:(興奮しながら囁いて)彼って最高よね。ニューヨークのコンサートを見に来てくれたんだけど、舞い上がっちゃったわ。
A:あなたはみんなを喜びに導くんですよ。
KM:だとしたら面白いわね。ツアーマネージャーと一緒にいるとき二人して“喜びを広げよう!喜びを広げよう!”って言ってるんだけど、私は喜びは広げることが出来ると信じているの。自分が幸せなとき、その幸せは広がるものだし、私にとってはありふれたことなのよ。ツアーのときは良い雰囲気を保つことが大切。プレッシャーを持つことは良いことだし、みんなプレッシャーを抱えているでしょ。人生も仕事も求められることは多いもの。だからそうね、楽しむことは好きよ。常にそう感じているわけではないけど、楽しんだり楽しませることは良いことよね。
A:あなたはどの時代においてもゲイ男子と関わり合ってきたアーティストだと思うんです。マドンナは昔、ガガは今まさにそれをやっていて、そしてあなたはずっと続けている。
KM:それって私にとって常に答えの出ない質問なのよね。成功の秘訣は?って質問に似てる。もし私達アーティストが答えを知っていたら、魔法なんて解けてるわ。妹と私は幼い頃からこの業界で仕事を始めて、そうするとそこには髪をセットしてくれたりお化粧してくれるゲイのメイクアップアーティストが必ずいるのね。ヤング・タレント・ショーって見たことある?つまり、別にそこに疑問を持ったことなんてなかったのよ。出身はメルボルンのサバーバンだし、決してリベラルで芸術肌な家庭というわけでもなかったわ。父は会計士で母も私達を生んでからは主婦だったしね。でも私達にとってはノーマルなことなのよ。
A:カイリーのゲイフレンドになるためにはどうしたら?まずジェイク・シアーズという関門を突破しなくてはいけないと思いますが。
KM:あはは、そうね…でも同じようにもう二人突破しなきゃいけない人がいるわ。一人はパリのジョルジュサンク・ホテルでフラワーアレンジメントをやってるジェフ・リーサム(*)。それからパリのヘアカラーリストのクリストファー・ロビン。えぇ、何人か名前出すの忘れてるって言うんでしょ。
(*)ツアーのアフターパーティーなどで装飾を頼んだりしてる。
A:カイリーのゲイ・ベストフレンドの座を賭けて闘いになりません?
KM:ちょっとしたケンカになるかもしれないけど、現実にはなったことないわ。みんなが1つの部屋に集まって、注目を集めようとしてるところを想像してみてよ。ウィリーは確実に私の夫の地位にいるとみていいわ。あとのみんなは全員浮気相手ね。薬指はウィリーのものよ。
フローリストのジェフ・リーサムと
A:キャリアにおいても私生活においてもドリー・パートンはあなたのアイコンだと言ってもいい?
KM:彼女は素晴らしいと思う。喜びを広げられる一人でしょうね。彼女の私生活に関することは知らないし、誰にもわからないことだわ。家にいるときより仕事をしてる方が幸せな人なんじゃないかって、彼女とは話が合いそうだと思うの。わからないけれど。彼女ってドリー以外の何者でもないから。ツアーに出るとき彼女はホテルに泊まらないでツアーバスで過ごすって話を聞いたことがあるんだけど、そういう所が大好きなの。だってそうでしょ?ドリーはスタッフ達を信頼してるって、とても説得力のある話だわ。昔は私も同じことを考えてた。ドリーのことを知れば知るほど彼女を大好きになるの。
A:また一人甥っ子(ダニーの子)が増えますね。子供たちに対してはどんな叔母さんなんですか?
KM:ローラーコースターみたいな叔母よ。最後に甥っ子のチャーリー(弟ブレンダンの子ども)に会ったのは私の祖母の90歳の誕生日だったんだけど、アンドレスと一緒にオーストラリアへ戻ったの。アンドレスにはちょっと大変な目に遭わせちゃったかもね。“おばあちゃんの90歳の誕生日なの!家族全員が揃うんだからね!わかった?”ってね。空港でチャーリーが待っていて、人ごみから彼を見つけたわ。腕を伸ばして、ゆっくりと駆け寄って、彼をぎゅっと掴まえて、床に倒れ込んじゃうの。人でいっぱいだけど、砂丘を転がり落ちるみたいに二人して床の上を転がり合うの。回って、回って、回るのよ。もう甥っ子達に夢中。それにまた一人生まれてくるのよね。楽しみだわ。ベビー用品買いにいかなきゃ。
A:この話題のときが一番リラックスしているみたいですね。他にもリラックスできるものはありますか?
KM:もうステージでストレスを感じることはないわ。色んな理由が組み合わさったからだと思うけど、自分の中でテンポが合ってきたのかもしれないし、そうなれたことが嬉しい。誰かから与えてもらえるものじゃないもの。辛い経験を通して学んでいかなきゃいけない。それに病気の後、気が楽になったの。ストレスで病気になったのか病気のせいでストレスを感じたのか、どっちが先かはわからないわ。パフォーマンスの前になると極限の精神状態にいて、いつも頭の中で“私は歌えない、これは出来ない、あれも出来ない”って小さな声が囁いてた。キャリアを考えたときに、私は全てを手に入れて順調に来たように見えるかもしれないけど、その中で自分なりに沢山の試練と闘ってきたし、きっとそれが私達(ゲイファンとカイリー)がお互いを理解し合えた何かなのかもしれないわね。
カイリーってドリー・パートン好きなんですね。ショーガール的なところに通ずるものは大いにありそうだけど。このインタビュアーはカイリーの大ファンだからなのか、とても丁寧なやり取りをしているのが好感でした。(失礼だったり意味わかんないインタビューする人多いですから)
いやー、カイリーファンとしてのジレンマでもあるんだけど、イギリス英語嫌いだわ。