臺灣への旅 NO.x バスの運転手さん 蔡(ツァイ)さんのこと | CHARLIE’S X ~Planet of the 'GODS'~

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アマチュア小説家(キャリアover30年 眉村卓先生、牧野修先生に師事)、リハビリ人(字が書けないけど身体障害者でもない about20年)、気象予報士(免取(^_^;)v)、占い師(吉田佳代名義 易学・四柱推命)

バス

 旅行の初日。
 飛行機は、短い雑草に囲まれた数本の滑走路に無事到着し、そこから小型バスに乗り変え、村役場のように小さくて、2つしか税関のない台南の空港を出た私たちを出迎えてくれたのが、 ↑ このバスでした。
 ちなみに。
 私たちが関西国際空港から台南に着いたこの飛行機は、史上初めて台南の空港に降り立った海外からの飛行機になりました。なので台南空港の小さなロビーでは、市長さんだったのかな?(私は知っている華流スターの姿を探しましたが)が、こう言ってはなんですが、安っぽいステージの上に立ち、式典が行われていました。私たちにも、「関空、台南就航記念」として、お土産が手渡されました。(関空でも少しもらいました)台南でもらったものの中には、日本で活躍中の歌手一青拗(ひとと・ようさん 読めますよね(^_^;))さんのお姉さん、一青妙(ひとと・たえ)さんが書いた、「わたしの台南」という、200ページほどもあるきれいな本や、台南のお菓子などをもらいました。
(私たちが参加したツアーには、この記念品目当てで参加したおじさんがいて、
「もっともらえると思ってたのに」
 と、ちょっと不満げでした(^_^;))

 というのは本題ではなくて。
 バスには、ガイドのレンさんと、運転手の蔡(ツァイ)さんが待ってくれていました。
 ちなみに(が多いナ(-_-#))
「蔡」を私がすぐに「ツァイ」と読めたことにも、不謹慎(?)な理由がありまして。
 8年くらい前、NHKのBS2がまだあったころだったんじゃないかなぁ、それくらい前に、『ザ・ホスピタル』という台湾ドラマが放映されました。このドラマをプロデュースしたのは、『台湾版 花より男子』などを手がけた、「蔡岳勳(ツァイ・ユエシュン 例によってピンイン不明)」監督、という人です。私の大好きな『ブラック&ホワイト』など、日本に入ってきている多くの台湾ドラマに関わっているかたです。

 台湾は、いつか書くつもりでいますが、とにかくバイク(100cc)が多い! ガイドのレンさん曰く、
「コンビニとバイクの数は世界一」
 とのことでした。
 また話は逸れますが、台湾のコンビニエンスストアは、セブンイレブンとファミリーマート(全家)が、うーん……、4:1くらいの割合で、街の角ごとといっても過言ではないほど、あります。まれに台湾発祥の「OKマート」というのもあるようです。
 話を交通に戻しますと。
 これは私が最終日に気づいたことなのですが、信号機が、
「バイクと、ゆっくりな自動車用」と、
「自動車用」
 とに分かれているのです!
 これも、まあ、大通りだけのことかもしれませんが。
 それくらい、バイクが多いのです!
 大きな道を走っているのは、観光バスとバイクが8割と言っても大げさではないと思います。

 道の幅は結構広かったと思います。(そして車は右側通行! 日本と逆です)
 しかし、交差点で、観光バス同士がすれ違うときなどは、もう下手をしたらこすってしまうんじゃないかと、ヒヤヒヤするほどギリギリの所を通ります。

 ガイドのレンさんは、話によると英語もできるそうで、もちろん日本語もペラペラ。
 台北101タワーで、免震のための600トンのボールについて説明するとき、
「だからここは台湾の心臓。では日本のシンゾウは?」
 と私たちに問いかけ、にやりとしたあと、
「アベシンゾウ」
 というような、ダジャレを上手く使いこなせるほど、日本語の上手なかたでした。

 ツアーの日程はかなり強行で。
 サービスエリアの休憩でさえ10分。ましてや街中の孔子廟などは、バスの駐車場がないから、集合時刻まで、蔡さんはどこかで何かをして待っていなければならず、なのにきちんと遅れずに、待ち合わせ場所に来てくれていました。
 日本人の感覚ならそれは当然なのでしょうが、私はこの交通量の多い街中を時間どおりに走る蔡さんって、本当にスゴイなぁと感じていました。

 レンさんと違って蔡さんは、日本語ができないようでした。
 だからただひたすらじっと、四方八方に気を配ってバスを走らせていました。
 大変なお仕事だなぁと思いました。

 あるサービスエリアで私がバスを降りようとしたとき、ちょうど蔡さんが、バスのゴミ箱のゴミを、サービスエリアのゴミ箱に捨てようとして、席を立ったのと鉢合わせしました。
 蔡さんは軽く手を挙げて私より先にバスから出ました。
 私は、
「辛苦了」(お疲れさまです」
 と、かろうじて知っていることばで蔡さんをねぎらいました。
「謝謝」
 蔡さんは笑っていました。

「今度バスに戻ったら『好久不見』(お久しぶりです)と冗談を言ってやろう!」
 と私がいたずらを企んでいたのに、実行できないまま、3日目のツアーが終わりました。
 蔡さんがホテルの前にバスを停めて、私がバスを降りるとき、
「明天見!」(また明日!)
 と声をかけると、意外なことに蔡さんは、
「明日は私じゃないんです。私は今日のここまでです」
 と、中国語でなんと言ったかは忘れましたが、そういう意味のことをおっしゃいました。
 私は残念で残念で、さみしくて。なのに、その気持ちを伝えることばを全く知らなくて……。
「謝謝」
 とだけなんども叫ぶことしかできませんでした(;_;)

 次の日の運転手さんは若いお兄ちゃんでした。運転は上手でしたが、待ち合わせの時刻に何度も遅れてきました。
 その人を悪く思ってはいません。
 ただ、それだけに、蔡さんはやっぱり素晴らしいドライバーさんだったんだな、と、深く感謝をしているのです。

『君につづく道』という、ヴィック・チョウ主演のドラマを思い出しました。(これは蔡監督ではありませんでした! DVD-BOXを持っているので、観たいかたはお申し出くださ~い、なんちゃって)恋愛経験のない恋愛小説家、しかもベストセラー作家を演じるヴィックがスランプに陥り、人との出会いを求めてタクシーの運転手を始める、という内容でした。
 蔡さんが運転する台北の道路を眺めながら、
「あのドラマは実現可能なんだろうか?」
 と、不思議に感じた、どこまでも不謹慎なわたくしでありました。