２００７年　枯れ紅葉の京都
29　念仏寺（だったのに！）　　

（老母と姉と私との、京都１泊３人旅のつづきです）

祇王寺は足早に周ったつもりなのに、竹薮やら墓やらで足を止めすぎたのか、

タクシーで待っていた母は、随分ゆっくりだったわね～！

　と痺れを切らしていた。

タクシーは母の気持ちを察するように、我々が乗り込むやいなや、発進。

（足が痛くて歩くのを億劫がり、寺の見物をせずにタクシーの中で待機していた母は、タクシーの運転手さん相手にきっとあれやこれや愚痴ったに違いない。(^_^;)）

タクシーは祇王寺をさらに嵯峨野の奥へと入っていって止まった。“嵯峨野観光”の行き止まりらしい。

いきなり現われた大きくてご立派な赤い金属製の鳥居。

祇王寺の鄙びた雰囲気から、いきなりぴかぴかな鳥居の登場に面食らう。(((゜д゜;)))
↓

周りは山深く、晩秋（初冬？）の山の静かさに満ちている。

（↑鳥居の手前にあるお店）

昔話に出てきそうな店が２軒。

提灯に灯った明かりも柔らかい。

どちらも食事処で、鮎を食べさせるらしい。

（↑タクシー運転手さんお薦めの奥の方の鮎料理店。）

こんなに山深い食事処なら、嵯峨野の渓流で捕れる新鮮な鮎を食べさせてくれるのだろうか？

「本当においしいですよ！

」「私はいつも、鮎を食べたいというお客さんをここに連れてきてあげるんですよ。

」と運転手さんが太鼓判を押すからには、是非とも食べてみたいところだ。

が、食べていたら日が暮れてしまう。ありがたい情報だけを記憶に留めて、今回は店を「見る」だけ。

（私だけならあっさり「予定変更」して、鮎で一杯やっちゃうところだが、母と姉が一緒だと、そういうわけにもいかないのであった。２対１、のん兵衛１人じゃ分が悪い。

）

↑
さらに山の奥へ入ろう辺りには、古びた立て札があり、

薄れ掛けた墨文字を読むと、「化野念仏寺」とある。

「ばけの？

」なんて読むのだろう？ヽ((◎д◎　))ゝ
なにやらぎっしり「化野念仏寺」の説明がある。

ここら辺が嵯峨野の行き止まりらしいことを運転手さんは言う。

これより先に行くと、もっともっと山深くなって、さらにずっと行くと大阪の方へ出てしまうらしい。

立て札の寺は、このちょっと先にあるらしいが、見るほどのものでもないようなことを言う。

山の奥の方を見やると、なんだか寂しさが漂っているようだった。

……じゃ、まぁ、時間もないことだし、ここら辺で引き返すか、ということになった。

寺は見ずとも、英語表記による説明が併記されている立て札だけ、後でゆっくり読もう～♪と写真に撮り、

タクシーは来た道を戻ったのであった。

後記：

「たいして見るほどのこともないでしょ

」という運転手さんの言葉を恨むつもりはない。

自分の下調べが足りなかったのがいけないのだ。

しかし、
しかし、
しかし、
旅から帰ってきて、
立て看板の説明文を読んで、私は後悔の涙を流した！(ノ◇≦。)

こここそが、私が二年前から行きたい！！！！！！！と願っていた念仏寺だったのだ！( ﾟ-ﾟ)( ﾟﾛﾟ)(( ﾛﾟ)ﾟ(((　ﾛ)~ﾟﾟ

嵯峨野の奥、人がなかなか行かないような京都の端っこ。その野末に千体ほどのお地蔵さまがずらりと並んでいる念仏寺がある――ここに行きたい！　と常々思っていたのだ！

しかし、姉からも母からも「そんなところ行ったって、地蔵が並んでいるだけよ。他に何もないんだよ。つまらないわよ。

」と、ケンモホロロに却下されてきたのだった。

他に何もない。お地蔵さまだけがずらりと並んでいる野末……それこそ見てみたい！！！　一日中眺めていたい！！！　と私は思うのだが……。

そんなに遠い不便なところなら、母と姉と３人で周るのは無理そうだな……と諦めてもいたのだ。((＞д＜))

この立て札が、まさかその念仏寺とは思わず、宝の山を目の前にして帰ってきてしまったわけだ。Σ(~∀~||;)

最大の敗因は「化野」を「あだしの」と読めなかった私の無知だ！

「あだしの」と読めていれば、ピンと来たかもしれない。

しかし、、、、、、他の漢字には読み仮名が振ってあるのに、なぜに「化野」に読みを振っていないのだ？
普通読めないでしょっ！！！！ヾ(▼ﾍ▼；)

↓　以下立て札の説明

「化野念仏寺

華西山東漸院と号する浄土宗の寺である。

化野は古来より鳥辺野、蓬台野とともに葬地として知られ、和歌では「化野の露」として人生の無常をあらわす枕詞に使われている。

寺伝によれば当寺は空海が弘仁年間（八一〇～八二四）に小倉山寄りを金剛界、曼荼羅山寄りを胎蔵界と見立てて千体の石仏を埋め、中間を流れる川（曼荼羅川）の河原に五智如来の石仏を立て、一字を建立し、五智如来寺と称したのが始まりといわれている。当初は真言宗であったが鎌倉時代の初期に法然の常念仏道場となり浄土宗に改められ、名も念仏寺と呼ばれるようになった。

正徳二年（一七一二）黒田如水の外孫の寂道が再建したといわれている本堂には、本尊の阿弥陀如来坐像を安置し、境内には西院の河原を現出した多数の石塔石仏が並んでいる。なお毎年八月二十三二十四日の両日には、これらの石塔石仏に灯を供える千灯供養が行われ、多くの参詣者で賑わう。」