メイド喫茶全盛期を知る神田さん。
神田さん自身もメイド喫茶で働いていた。
「神田さんみたいなコがいるのかな…?」
そう聞くと、わらって、ふと我に返り、
「今はメイドリーミンとかもまだやってるのかなぁ…」
とつぶやいたので
「メイドリーミンがやっぱ一番上なの?」
って聞くと
「@home・・・、@homeの方が。ブランド力?とかある」
「アットホーム?!アットホームの方がメイドリーミンより上なの?!!」
「うん・・・」
何ぃーーーー未知の情報。
帰り速攻秋葉原に外観だけ見に行った覚えがある。
以上、2年位前の話。
以来、@home延いてはメイドカフェ全般の勢力図がもやもやと気になっていた。
そして行った。ついに。
目当ての実質@home cafeビルに行き着くと、土曜だけあってか入口に長蛇の列。ピンサロとかと異なり、女も並んでいる。
その列は入口から非常階段に連なり、行き着く果てがわからない。
最後尾につけ、すぐ前のLINEをしてる男に
「すいません、@home cafeに入るのに並んでるのですか?」
と聞くと
「いや、違います」
との返答。
なら何に並んでるんだーーー?!!!
と内心思ったが、あまりの並びの勢いに聞けない。
列に並列し、スタッフの振りをして、並びの先を見るとどうやら2Fの@homeスーベニアに入っていっている。
部屋の中は少ししか見れなかったが、有力メイドのプロマイドや土産モンがおいてあるようだった。
うーーーむ。
列が違うと分かれば、エレベーターに乗り込む。
外人も混入し、わけもわからず最上階の7Fに。
開くと客が溢れており、すぐ下の6Fに。
客満員そう。傍目にも賑わっている。
自分だけおり、一応中に入ると、やはり待止めをくらう。
案内表を読んでおくようにと店員に渡され、棒立ち。
しばらくすると
「お嬢様お出かけになられまーす」
の声がし、若いアイドル級の女性客が帰途につく。
入れ替わりに、今度はメイドさんがやってきて
「ご主人様お待たせしました。秘密のおまじないは読んで頂けましたか?」
と謎の問いかけを。
どうやら、案内表のことだったようで、戸惑いながらも頷くと、中央カウンター席に案内された。
そこから対面で、メイドさんから説明あり。
「ご主人様はとても久しぶりなご帰宅なので、これからお屋敷の説明させて頂きます」
えっ、俺、以前1回来たことあっけ?!
記憶を手繰り寄せるが、1回も来たことないはずだ。系列店とかもないだろう・・・。
思い巡るこちらにかまう様子もなく、つらつらとメイド用語マニュアルで説明が続く。
笑うと思わしきところで笑おうとするが、どうも笑顔が引き攣り、いたたまれないイタい状況に…。
蒼いスーツに黒いコート。場違いな自分。
焦りのあまり汗が吹き出る。
「ご主人様、何かご質問はありませんか?」
「いや、ないです」
「では、最後に、このお屋敷の地下から湧き出た神秘の水をお持ち致します。とっても美味しいのでぜひ飲んで下さいね」
何が運ばれてくるのかと思うと普通の水だった。
メニューとして説明を受けた”あちゅあちゅきゃらめるらて”を注文。
別のメイドさんが、運んできた。
「はじめして。おくらといいます。」
「あは、はじめまして;」
下手するとガチャピンみたいな暗めのネーミングだが、全然暗くなく明るい。
しかもアイドルを凌駕せん可愛さ。
ってか、さすが神田さん曰く、秋葉原メイド喫茶最高峰だけあって、それクラスがちらほらいる。
引き続きおくらさん。
「ご主人様、これからラテでお絵かきをするのですが、好きな動物とかありますか」
「イヌが好きです」
「犬?わんちゃんですか~」
キャラメルかはちみつみたいなチューブをしぼり犬の絵を描くおくらさん。
可愛いけど絵も上手い。
「できました~。ここで、このお飲み物がもっとおいしくなるように一緒にあることをします」
「え、何をするんですか」
「あ、手でハートを作って、パワーを注入します。先ず左手、右手、順番に、もえ、もえ、キュン♪と言って下さいね」
「は、はい」
「では、いきます。もえ、もえ、」
「もえ、もえ」
ぎこちなく、おくらの後に続き、手でハートの方を作る
「キューーーン」
「きゅーーん」
ラテにパワー注入。
「はい、より美味しくなりましたーー!ごゆっくり召し上がって下さい」
顔面からとめどなく流れる汗。
あ、あつい。
メイドさんから解放され、場の観察。
上座にお遊戯会的なステージがあり、チェキ希望者は、カードに書いた名前を呼ばれ、メイドさんと一緒に写真を撮っている。
端の方では、メイドさんと対MANでゲームも行われている。
いずれももちろん有料だ。
この階の客は30人弱、内3、4割は外人や女性といったところか。
意外にも割とイケメン風の若者もいる。
ふと気づくと、店内の騒々しさに反し、放置されていた私。
そろそろ退却のタイミングを図ろうと考えていると、おやっ、巨体をもてあます893者みたいなご主人様が入店・・・。
舎弟みたいな方もおり、その二人が入ってくると一瞬にして禍々しい空気が伝播した。
巨体の方&弟子、中央カウンターに着席。
「ふっー」と声を出し、「○○ちゃん、ブレンドな」と注文。
メイドさんの説明時、弟子に
「わかったか、わかったか? わからんかったら○○ちゃんに何でも聞けよ」
と口挟んでいる。
あちゅあちゅぶれんどこーひーが二つ運ばれてくる。
まさか、この方々もあれをやるのだろうか・・・。
おそるおそる横目を向けると、やっている。
より一層、美味しくなるおまじないを。
いきなり巨体に舎弟が怒られる。
「バカヤロー! 左手、右手、もえ、もえ、キュン!だろうがー」
「はい、すいません!やりなおします」
「あ~~、ご主人様~」
「気持ちがこもってねぇ!もえ、もえ、きゅ~んだ!よく○○ちゃんを見ろ!」
汗だくになり、必死こきながら、あちゅあちゅこーひーに願掛けする舎弟。
おぞましく、滑稽な光景。
ダメ出しの連続。
「ちょっとよくなった!だがそんなんだったらまだ旨いもの不味くなる!」
「ご主人様、がんばって!」
メイドも少し冷や汗かいている。
楽な仕事ではない。
そろりと退却し、カウンターへ。
このコはやや大柄ながら可愛く利発そうだ。
「他の階は内装が違うだけなんですか」と質問すると
「そうです、内装とメイドさんが違います。そのため、やっていることは同じなんですが、雰囲気が違いますね」
「今日たまたま6階に来たんですが、どこの階でも行けるんですが?」
「はい、行けますよ~。ドンキ店もあります」
@homeに占拠された建物。
ドンキ秋葉原店の方にも@home cafeがあり、メイドさんがシフトで行き来しているらしい。
まだ業界の全貌が見えないが、キャストの質、店の売り上げでは、@homeの一人勝ちのような気がした。
ただ、ちょっと行き過ぎたマニュアル感があり、メイド業界ならではのテクニカルワードにはこちらもその世界に入らないと気恥しくなるほど^^;
また、メイドさんにそつのなさというかちょっとスレた感じも見受けられ、店内の内装の趣や雰囲気も癒しの要素から離れているように感じられた。
まぁ、いずれもせよ秋葉原、東京という都会を代表する純メイド喫茶には変わりないだろうが。
▼上階に続く列。イベントか限定物販売でもあったのだろうか
▼入口付近
▼「お・か・え・り・な・さ・ま・せ」垂れ幕を飾るメイドたち。風俗と異なるゆえ、退店しても載り続けるのだろうか。
▼@homeのお城
▼ラテかはちみつでイヌの絵を描いてくれたおくらさん。よくみると熊にも見える
▼@home cafe LICENCE カード。裏には担当メイドと己自身のあだ名を書いてもらえる。
お家賃代=チャージが700円プラス税。
あちゅあちゅキャラメルラテが680円。
計1,490円とはけっこういい値段だ…。