「増える若年失業者の雇用を
 海外の日本企業のフランチャイズ活動で創出していけないかなあ?」



触発型アイデアとは、これまでに問われていない「パラダイム転換」を、その可能性についての質問という形で内包するものです。

◯ 国は若年層の雇用を国内でいかに確保するかを問うてきた 
 
  → 新興市場を中心に海外で確保することはできないか?

◯ 国は就労のすべてについて自己責任を負わせる移民や、就労を海外企業が受け入れるワーキングホリデイは進めてきた   

  → 新興市場を中心に海外でフランチャイズ活動する
    日本企業が業界共同で就労を促進してはどうか?
    (コンビニ業界、スーパー業界、ブライダル業界、
     外食業界など)


こうした新しい問い掛けから、さらに次のような問い掛けも生まれます。

◯ 国が少子化対策などで求めているのはつまるところ税収の確保であり、
 これを国内の定住者から得ようとしている

  → 海外の就労者でも日本企業に雇われるならば
    源泉徴収することができるのではないか?

◯ 国が少子化対策などで求めているのは日本国籍をもった国民の増加であり、
 これを国内の定住者として得ようとしている

  → 日本人が海外で出産し育てた子供が日本国籍を取得し
    日本に税金を払う日本人が増加するという方向もある
    のではないか?

◯ 国は若年層の人余りを福祉関係や農林水産業関係の人手不足にシフトさせようとしているが、
  本人たちの志向は一般的にそれに応じるものではない

  → 国は「定住志向」を前提にしているが、
    グローバル化した世界でモバイル化した生活を送る
    若年層ほど
    刺激と出会いに満ちた「転住志向」に魅力を感じる
    ものであり
    海外でフランチャイズ活動する同一業界の
    日本企業の店舗や事業所を渡り歩いて人生を送る
    「ライフ・ワーク・バランス」 の取り方に憧れる
    のではないか?


連鎖して発生する問い掛けたちを可能性として問うていくことで、 以下のような事柄に思い当たります。

国ばかりでなく私たち日本人は、いつの頃からか「定住民」だけを善しとし「移動民」を差別するようになっていて、その延長で両者の中間に位置する定住地を転じて人生を送る「転住民」をも抑制してきた歴史がある。
芸能民など「移動民」の差別については意識してきたが、「転住民」という概念とそれについての意識は抜け落ちてきた。

「転住民」の象徴的な典型は、
居城を移動して上洛に至った織田信長とその家臣、
日本人町を転じていってアユタヤ国王に重用された山田長政、
土佐藩を脱藩して長崎を拠点に活動した坂本龍馬と亀山社中など。
その特徴的条件は、
「異界との重なり領域」である前戦居城、日本人町、海外との交流拠点長崎といった 公的インフラを手立てとしているところ。
ここが、国が個人や家族に自己責任を負わせるだけの移民政策、本人が自己責任をとる移住と異なるところ。

現代の日本人も「集団志向」が色濃く、公的インフラを後ろ盾にした集団活動によって持ち前のユニークな力を安心して発揮できるという<社会人的な心性>があります。
もしコンビニ業界、スーパー業界、ブライダル業界、外食業界などの業界共通の就労マニュアルをマスターした若年層が、転住する国の言語を必要程度マスターすれば、世界各地の同一業界の店舗や事業所で日本人の得意とする「集団志向」で働けるとなれば、それに呼応する若年層は多い筈です。
「個人~集団レベルの護送船団方式」と言えばよいでしょうか。


ここで、「転住民」「転住志向」に対応する人事と給与の制度化が重要です。
給与については、現地経済水準での生活と貯蓄ができる水準とします。
日本国内水準の給与とすることは、いずれ日本に帰国しての「定住」を志向するものであって、これには対応する必要はありません。
日本に帰国しての「定住」を志向することは、個々人が現地での経験や人脈づくりをして転職したり起業して、自己責任の「個人志向」で行ってもらいます。
(ただし、現地水準の貯蓄は現地での「定住」は可能にします。)

あくまで今の日本の若年層が、
このままでは仕事がない、
あってもやりたい仕事ではない、
そんなことを言っていると暮らして行けない、
という逼迫的状況にあり、
これを打開するための施策を考えるべき時だと思います。

以上のような、海外の日本企業のフランチャイズ活動を公的インフラとした「転住民」雇用の促進策は、そのヒントになると思います。

業界共同で若年層の雇用と新興市場での共栄を図ることは、
人口減少する日本においてまず自らの成長戦略であり、
かつ国に頼らずに民間活力によって人口増加を図る社会貢献ともなります。

国の公的融資も、国内の雇用を生まない衰退産業にではなく、こうした海外の雇用を増大する成長分野にこそ投入すべきでしょう。
たとえば国は、中小零細の町工場の海外進出において、若年者雇用を増大する同一職能の就労インフラとセットでこれを支援すべきということになります。


*「触発型アイデア」への対応は明らかに二つに分かれます。

一つはただ一笑に伏したり、できない理由を上げて否定するだけで終わる。
いま一つは、多様な可能性のそれぞれについてどうしたらできるか創意工夫していき、その過程で新たな地平を切り拓くことができる偶有性に期待する。

後者のタイプの思考をする者は新たなるテーマで対話をして新しい交流をしていきます。その帰結として、何らかのパラダイム転換を具体化するための恊働を試みたり、現状を打開するための交渉に臨んでいきます。
前者のタイプの者は、たいていの場合、机上で孤立して思考を完結して満足するだけです。

さまざまな分野で歴史を変えるような出来事がありますが、それを先導した個人および集団は、間違いなく後者のタイプです。