久しぶりに、佐藤正午を読んだ。
筆者は、本屋でもなく、評論家でもなく、書籍関連業者でもなく、
もちろんご本人にもお会いしたことなく、勝手に感想を書いています。
本屋に行って、何を読もうか、くるくる回って、ポップや帯や装丁から選ぶ楽しさよ。
手に取ったのは「ジャンプ」
デビュー作の「永遠の1/2」に始まり、学生時代からしばらくは(何年前かは言わない)、よく読んだ小説家。
「ジャンプ」は、2000年に刊行された文庫の新装版で、本屋に平積みされていた。
確か、これは読んでなかったはず。
読んでみて、思った。
この人の独特の表現。
周りくどい...いや、細かい、細かすぎるくらいの描写。
こう言うの嫌いではな...いや、好きなんですけど、そんな私でも「くどい」と思うほど細かい。
酔っ払って帰る道すがらにあったもの、見たもの、部屋の中、目覚めたときの気分から何から何まで細かい。
イマドキのタイパ重視の人々(タイパー?→タイムキーパーじゃん)は手を出さないかも。
内容は、突然、失踪したガールフレンドを探して回る大人のミステリー。
彼女に関わった人が次々現れるのに、彼女に辿り着けない。
最終章に入ったところなので、まだ結末に辿り着いていないのだけれど、
読み進めるうちに、この文章に夢中になって、ワールドに入り込んでいた。
読んでいると、それがどうした!?と言いたくなるところもあるが、ちゃんと読む。飛ばさない。
細かい描写の奥にある主人公や登場人物の心情、性格、人というものの面白さ、想像する力。
そんな気持ち、が、味わえる。.......。 タイパとは無縁かもしれない、
が、「そんな気持ち」がわかると楽しいよ。
通勤時間の30分弱に出会う世界。スマホではなく文庫本で楽しんでいる。
最近、本屋が減ってしまって、いい本たちに出会う機会が少ないのがちょっとつまらない。
でも、なんでこのタイトルにしたのかわからないのだ。最後まで読んだらわかるかな。
「ジャンプ」(新装版) 佐藤正午 光文社文庫
追補:最後まで読みました。やっぱ、タイトルは「なんで?」のままでした。 (2024/4/26)