1.はじめに
まずはこちらをご覧下さい。
【日本国からの独立宣言!】無人島を買ってリアル「ネコリパブリック」を建国したい!(By Asaka Nakama) - クラウドファンディング | Kibidango【きびだんご】
エイプリルフールネタかと思われたこちらの企画、どうやら本当に実現したいと思ってるらしく……
この計画には様々な問題があるため、まとめようと思いました。
本来のブログの主旨とは全く違いますが、Twitterではまとめ切れないため、ブログにまとめようと思った次第です。
2.ざっくりと何が問題か
時間のない人はここだけ読んで下さい。
(1)猫(イエネコ)は日本の固有種ではなく、外来生物である。
(2)現在外にいる野良猫は元と辿れば人間が放し飼いにした子、捨てた子、脱走した子です。
(3)島には島の生態系があります。
島に猫を放つことにより、生態系が破壊される恐れがあります。
(4)そもそも環境省と歩調を合わせないといけないはずの動物愛護活動ですが、環境省も外で猫を飼うことについては非推奨です。
以上の事から、ネコリパブリックの無人島購入計画には断固反対します。
3.詳細など
(1)猫(イエネコ)は日本の固有種ではなく、外来生物である。
一般的に猫とは、リビアヤマネコが祖先とされており、それが人の元で暮らすことによって家畜化されたものと考えられています。
日本に伝わったのは諸説ありますが、弥生時代~奈良時代にかけて、書物や作物を守るために輸入されてきたと考えられています。
注釈:ノネコという表現に筆者は否定的であることを明記しておく。
では、何故日本固有でもない猫がこんなにも沢山いるのでしょう?
(2)現在外にいる野良猫は元と辿れば人間が放し飼いにした子、捨てた子、脱走した子です。
これは言うまでもありませんね。
固有種ではないのですから、辿っていけば人間が関与しています。
そして、野良猫になった猫は強い繁殖能力によって増えます。
これは日本では長い間去勢、避妊手術をしてこなかったことが原因の一つでもあります。
(3)島には島の生態系があります。
人の手がついてない無人島は特殊な生態系が発展してる可能性があります。
そこに猫や人が移入することにより、島の固有種が絶滅する可能性もあるのです。
現に、小笠原諸島では増えすぎた猫により島固有種であるアカガシラカラスバトなどが猫により捕食され、問題になっております。
このため小笠原諸島では猫の捕獲、譲渡活動を行っております。
猫は肉食性であり、狩りをする動物です。
猫より弱い動物が捕食される可能性は否定できません。
また、イリオモテヤマネコなどの日本固有のネコ科動物との交雑も近年懸念されております。
このことからも、猫を無人島で放し飼いにするという事がいかに狂気に満ちたことであるかということがお分かりいただけるかと思います。
(4)そもそも環境省と歩調を合わせないといけないはずの動物愛護活動ですが、環境省も外で猫を飼うことについては非推奨です。
ここからは少し関係ないかと思う方もいるかと思いますが、法律のお話です。
出典
数年に一度改正される動物愛護法(以下:愛護法)では、次回改正に向けた提言や、飼育に関する指針なども出されています。
また、愛護法以外にも環境省では飼育方法などの提言も行っています。
猫の飼育においての主な指針や提言などは以下になります。
・動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。
(愛護法第三章 第一節 第七条の4)
・犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置をするように努めなければならない。
(愛護法第四章 三七条)
・犬猫の引取りを求める相当の事由がないと認められる場合
詳細省略(愛護法規則第二十一条の二)
・室内飼育の提言(出典PDFを参照)
他にもマイクロチップ導入義務付けに向けた等の動きがあります。
このように行政側では終生飼養(原則飼い主、業者からの引取拒否)、室内飼育、適正飼育による野良猫の減少などを推奨しているのに、ネコリパブリックがやろうとしてることはまるで真逆のことなのです。
本来は政治(行政)、保護団体、民間人が協力をして行うはずの動物愛護活動なのに、行政側が蔑ろにされています。
4.まとめ
以上のことから、私はネコリパブリックの無人島購入計画に断固反対します。
これは猫だけに偏った愛護活動であり、到底許されるものではありません。
また、そのような事を愛護活動だと思いたくありませんし、既存の猫を主軸に置く動物愛護団体、保護猫カフェ、猫カフェが同じ思いで活動してると誤解を招きかねません。
どうか、プロジェクトには賛同しないようお願いします。
質問、コメント等ありましたらブログのコメント欄、もしくはTwitter(@omochi_neko299)まで。
尚、全ての質問やコメントに応じることは出来ませんのでご了承下さい。
また、私は動物取扱責任者になりうる有資格者ではありますが現在は動物関連の仕事には携わっていないことを明記しておきます。