問1
真核生物を問う問題。今年以降,この問題のように選択肢中に正しいものが2つ,3つ,4つある中から選ばせるような出題が多くなっていくと思います。今年はその影響もあり平均点が下がったと予想されます。
この問題では酵母とゾウリムシは真核生物とわかった人が多かったでしょう。また大腸菌が原核生物であることも分かった人が多かったでしょう。カナダモが真核生物,ネンジュモがシアノバクテリア(原核生物)であることを覚えていたことが勝敗を分けたでしょう。カナダモに関しては各社教科書の細胞を観察するところで扱われている。このような実験欄からの出題は今後も続くと考えられます。
問2
①→核以外の細胞小器官や細胞質基質は細胞質に含まれる。ただ,「細胞質」という用語は東京書籍の教科書には記載がありません。今後も複数の出版社の情報を総合して学習する必要があると思います。
③→有機物を分解するのはミトコンドリアです。
④→アントシアンが含まれる(場合がある)のは液胞です。ただし,アントシアンも東京書籍の教科書には記載がありません。
⑤→動物細胞には細胞壁は無い。
問3
「同化」が簡単な物質から複雑な物質が作られる過程であることが分かっていればできたと思います。動物の体内でも「同化」が起きていることがポイント。
問4
新鮮な切り口の問題。DNAを抽出するためには,核をもつ細胞でないといけない。卵白には細胞はほとんど含まれていない(細胞から構成されていない)という知識が必要。
問5
①→同じヒトでも,個人間では0.1%程度の塩基配列に違いがある。
②→受精卵から核内の情報は全て複製され,娘細胞に分配されるので遺伝情報は変化しない。
③→DNAが複製されるのは間期のS期である。
④→パフでは転写が盛んに起きているが,「全遺伝子」が発現することはない。
この問題は,生物基礎の内容の遺伝分野の本質を突く良問だと思います。
問6
今回の生物基礎,最大の注目問題。ヒトの遺伝子数が約20000であることを知っていないと解けない計算問題。この遺伝子数を与えるか,与えないかを作問段階でも検討に上がったと思うが,結果「与えない」という結論に至ったと予想されます。
個人的には与えても正答率が著しく上がるとは思えないので,与えるべきであったと思います。また,啓林館の教科書では遺伝子数は「参考」扱いなので,それを事前知識として要求するのは無理があるようにも思います。
ただ,この問題は今後の生物基礎の問題ではある程度難しい問題も出題されるということなのでしょう。。。