今回のテーマは「神経系」です。


まずは,いろいろな動物の神経を考えていきましょう。



例えば,ゾウリムシに神経はありますか?






当然ありませんよね。

だって単細胞生物ですからね~ww


ということは,神経を持たない動物もいるということです。



そんな中で,最も単純な神経系を「散在神経系」

といいます。


これは文字の通り,神経が散らばって存在しているだけです。

よって複雑な情報処理はできません。

その結果,単純な行動しか取れない生物に多いです。


例えば,ヒドラとかクラゲとかが散在神経系です。

確かに,クラゲなんかは単純な運動しかしませんよね~。


また,ヒドラは無性生殖の「出芽」で増える生物でした。

思い出してくださいね。



これより高等な神経系では神経が集まっている部分が

あるので「集中神経系」といいます。


集中神経系はさらに,「かご形神経系」「はしご形神経系」「管状神経系」

に分かれます。


かご形神経系をもつ代表的な生物はプラナリアです。

切っても切っても再生してくることで有名ですね。


はしご形神経系は,節足動物(昆虫など)やミミズが有名です。

このタイプの神経系をもつ生物は体節をもつことが多いです。


例えば,バッタの腹部を思い出してください。

「ふしふし」になっていませんでしたか?


あの一つ一つが体節です。

そして,その体節ごとに神経が集まっている部分があり,

その神経の集まり(神経節)が神経でつながっています。


それがはしご形に見えることからこの名がつています。


そして最後は管状神経系です。

管状神経系の「管」って何かわかりますか?



皆さんも知っているはず,そうです。

「神経管」

です。

ということは,管状神経系とは神経管から作られる

神経系ということになります。


なので,神経管ができる脊椎動物(背骨ある生物)

が管状神経系をもつことになります。



ではここからは,いよいよヒトの神経系を考えましょう。


ヒトで神経が集まっている部分なんて「脳」と「脊髄」

しかないですよね。


この二つを中枢神経系といいます。


この中枢神経系から体の末端に出ている神経を

末梢神経系といいます。


脳から出ている末梢神経を「脳神経」

脊髄から出ている末梢神経を「脊髄神経」といいます。

脳や脊髄を構成している神経を脳神経,脊髄神経

というわけではないのでご注意を。。。


また,末梢神経はその働きでも分類することができて,

体性神経系と自律神経系に分けられます。


自律神経系は文字の通りですが,

勝手に働く神経で「不随意」に働きます。


一方,体性神経系はどちらかというと,

「随意」で動く神経です。


体性神経系には「感覚神経」「運動神経」があり,

自律神経系には「交感神経」「副交感神経」があります。


末梢神経系は分類が2通りあるので注意を。。。



では,ヒトの脳に焦点をあてましょう。


ヒトの脳は,

「大脳」「間脳」「中脳」「小脳」「延髄」に分けられます。


そして,間脳・中脳・延髄は生命の根幹を支える働きをそいているので,

「脳幹」とまとめられることもあります。


延髄は,呼吸・心拍の調節

中脳は眼球運動・瞳孔調節

小脳は運動・体の平衡を保つ

間脳(視床下部)は自律神経系や内分泌系の中枢として働きます。


大脳はヒトでよく発達していて,

「新皮質」と「古い皮質」に分けられます。


この「古い」というのはどういうことか?というと,

発生学的・系統額的に古い,ということです。


要は,個体の発生で比較的早く作られる部分であり,

進化の過程で早くから獲得した大脳の部分ということです。


なので,古い皮質に相当する部分は,

ヒト以外の生物でも見られます。


よってこの部分ではヒト以外の動物でも見られる,

欲求・本能・嗅覚などの中枢です。


そして,新皮質はヒトで非常に発達している部分で,

学習・感覚(嗅覚以外)・意思などを中枢となります。


各脳の機能をしっかりと覚えましょう。


また,脊髄は脳と体の各部を結ぶ通路としての役割と

反射の中枢としての働きがあります。



例えば,熱いものを触った時,

皮膚の感覚神経が興奮し,脊髄に情報が伝わります。

この時,感覚神経は脊髄の背根を通り

(脊髄神経節に細胞体)

脊髄の髄質で介在ニューロンを経て,

運動ニューロンに興奮が伝わり,

運動ニューロンは腹根から出て骨格筋を収縮させます。


激しい刺激の場合にはこのように,

脳に届く前に骨格筋に指令が届きます。


まぁ,脳に届いて「熱い」という感覚が生じてから命令を出していては

大やけどしてしまいますからね。


脊髄以外にも中脳や延髄も反射の中枢として働くので

それも抑えておきましょう。