悪魔のように細心に


監督、脚本:石井裕也

出演:光石研、田口トモロヲ、森岡龍、吉永淳、山本ひかる、染谷将太、綾野剛、螢雪次朗、藤原竜也、岩松了、西田尚美

英題:A Man with Style

2011年/日本/110分

公式サイト

評価:★★★★★★☆☆☆☆


これは夏に東京に行った時に上映されていたので観てこようかと思ったんだけど、あいにく時間が合わなくて断念した作品。ようやく仙台でも公開されたんだけど、わずか2週間の上映ということで危うく見逃すところでした。結局、映画は1000円で観れる日にしか観ないという禁を破って、1300円払って上映最終日に見に行ってきたんだけど、その価値は十分あった作品でしたね。


『川の底からこんにちは』で鮮烈な印象を残した、日本映画界期待の俊英、石井裕也監督作品だけど、前作の下品さは影をひそめた格調高い演出で、途中までは今年のベストワン候補かなと思うぐらいの雰囲気がありました。父子の断絶を描いた作品なんだけど、僕も若い頃は父親とはほとんど会話もなく、ちょうどこんな感じの状況だったので、非常に興味深く観ることが出来ました。


だけど、結局ガンではなかったというオチも見え見えだったし、物分かりの良すぎる子供たちにも拍子抜けで、後半はすっかり退屈に感じてしまいました。ちなみに、私の場合は、「お前、俺を馬鹿にしてんのか!」などと言われて父親に殴られたりしたこともあったし、その後、父親はあっさりガンで亡くなってしまって、完全に分かり合える暇もなかったわけで、それと比べると、本作の展開は単なる絵空事に思えてしまい、やはり石井裕也君もまだまだ若いなあと思ってしまいました。(^^;


でも、部分的には見どころ十分で、光石研と田口トモロヲの掛け合いも面白かったし、音楽の使い方や主題歌なども良かったし、今後の作品にも期待してみたいところです。