監督:D・W・グリフィス
脚本:フランク・ウッズ
撮影:G・W・ビッツァー
音楽:ジョセフ・カール・ブレイル
出演:リリアン・ギッシュ、ヘンリー・B・ウォルソール、メエ・マーシュ、ミリアム・クーパー、エルマー・クリフトン、スポッティスウッド・エイケン、ジョセフィン・クロウェル、ラルフ・ルイス、ジョージ・シーグマン、ウォルター・ロング、ロバート・ハーロン、ジョセフ・ヘナベリー
原題:The Birth of a Nation
1915年/アメリカ/165分
原作:Clansman: An Historical Romance of the Ku Klux Klan Thomas Dixon
これは、映画の父と呼ばれるD・W・グリフィスの1915年の作品。ヨーロッパ映画に後れをとっていた当時のアメリカとしては、全く前例のない巨額の制作費を投じて作られた大作で、興行的にも大ヒットし、後にハリウッドが世界制覇を成し遂げる基礎を築いた作品ですね。
グリフィスが映画の父と呼ばれる所以は、それまでの映画が主に固定カメラによるワンシーンワンカットで撮影されていたものを、ロング・ショット、バストショット、クローズ・アップなどを組み合わせたり、同時進行している複数のシーンを交互に描くクロス・カッティングなどを活用したりして、現在も行われている映画の基本的な撮影・編集技法を確立したことでしょうかね。実際、この映画は今観ても現代の映画とほとんど遜色なく、十分鑑賞に堪えうる作品になっています。まあ、サイレントなので、見慣れるまでは少し違和感があったけど、ロマンスあり、スペクタクルあり、アクションありの内容で、普通に面白く観れました。
物語は、南北戦争と、その後の南部の混乱から秘密結社のクー・クラックス・クラン(KKK)が結成されるまでの模様を、リンカーン暗殺などの史実を交えながら描いた歴史巨編で、白人至上主義の人種差別団体KKKを英雄視しているのが特徴的ですね。KKK団というと、鉄腕アトムなどの漫画でも悪役として登場しているほどで、一般的には悪名高き秘密結社なんだけど、南部の白人の子として生まれたグリフィス監督や原作者のトマス・ディクソンには、子供の頃から人種差別主義が身についていたのかも知れません。