メルセデス ベンツ

R230 SLクラス、ヘッドライトのクリーニング。


通常は表面の垢や汚れを磨くのが一般的ですが、

近年のクルマはヘッドライトの透明感が高く、内部の曇りが気になる事が多い。


分解出来るように作られていないので、これをクリーニングするのは通常は困難です。

ですが今回はこれを特殊な方法で分解し、ダメージを与える事無く、復活させます。





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今回クリーニングを行うヘッドライトです。


曇りがあり、白ボケた印象です。

ですが不思議とオーナー様本人は、大して汚れていないと感じています。

徐々に曇り、また比べる対象も無い為か、キレイ好きな方でもそのように感じるようです。






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では、まずは完成した状態をご覧ください。


もちろん1枚目画像の物と同じもので、こちらがクリーニング後となります。

そんなに違いないでしょうか?  ・・劇的に見違えたと思います。


ここから、私独自の方法になりますが、

その取り組み方なども交え、作業の手順をご紹介させて頂きます。





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まず、ダメージ、汚れなどを目視確認します。


クリアカバー表面はごく小さな飛び石傷と、軽度の水垢程度。

内部の白ボケた印象と、ヘッドライト点灯時の照度復活を求められましたので、

全て分解してオーバーホールを行う作業に。





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ライトのカバーを特殊な方法で外し、内部を直接確認。


キラキラした部分を、リフレクター(反射板)と呼びますが、曇って白い。

画像中央の丸い部分がライトの、ロービーム。(プロジェクターランプと呼びます)

透明感がなく真っ白・・・ これでは暗いはずです。


※通常の基本クリーニングでは、この状態で手の届く範囲をクリーニングします。






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外したライトカバーです。


湿気や細かい埃が表面に付着。

これも光量の妨げになりますし、ライト点灯時は、ぼんやりとした印象になります。






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洗浄前と、洗浄後の物を比べるとこの通り。

この作業だけでも見た目がシャープになります。


ちなみにこの部品、表面は傷や垢が付きにくいUVハードコートがされておりますが、

裏面には、そのような加工は無く、かなりデリケートです。

簡単に傷が入ってしまうばかりか、傷が付けばとても目立ってしまいます。


なので、洗浄や拭き上げの際は、キズやゴミ、水滴を残さないよう注意します。

私の場合、エアブローを多用します。(高圧の空気で吹き飛ばす事)

当たり前ですが、埃のある場所や、素手での作業は行ないません。





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ライト本体を完全に分解します。


基本クリーニングの場合、この作業はありませんが、

フルクリーニングの場合はより積極的な洗浄を行うため、部品を単体にしていきます。


破損した場合、内部の部品は調達できませんので、







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完全に分解する事により、

リフレクターも部品単体で丁寧に汚れを落とす事が可能です。

構造上、隅々まで光らせる事ができ、とても美しく仕上がります。





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クリーニング前





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クリーニング後

やはり深みが違いますね。


ちなみにこれら内部の部品も、強く拭いたりという事に耐える作りではありません。

とにかくデリケートな為、ダメージなくスッキリと仕上げるのが難しいパートです。

また、この部分の美しさは全体の見た目に大きく影響しますので、

髪の毛ほどの傷や曇り、拭き残しなど無いよう細心の注意を払います。





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こちらは本体より取り出したロービームのユニット部分。

プロジェクターランプです。


レンズと、その背後にある反射板は思ったより曇りが強い。

ここでHID球が光るのですが、高温になる為、湿気等の蒸着が速いようです。

とにかく、真っ白に曇っています。






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注意深く分解し、有効部品の洗浄に掛かります。





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プロジェクターのレンズ、(半球体)です。

裏面の半分を拭いてみました。


表面はあらかじめ拭いてあるのですが、その前はもっと強く曇っていました。


この部品は光を集め、前方に飛ばす仕組み。

レンズの特性上、曇ると光が乱反射し、分散してしまうので透明度は重要です。


通常の見た目にも、やはり差が出ます。





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プロジェクターの背面にあるリフレクターです。

HIDランプ球の発光部は、ここから突き出ます。





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クリーニング後です。

光を直接反射させる部分なので、クリーニングの効果は高いです。






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組み付け、プロジェクターユニットの完成。


この時点でのライトの光量に関する性能においては、新車以上です。

新品のライトでも、保存の為かここまでクリアではありません。

クリアカバーの透明度にも同じ事がいえます。


もちろんですが全ての工程で素手での作業は行いません。

手の油分がクリーニングを困難にし、加工感を残す原因になる為です。





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各部品を一つ一つエアブローし、強い光を当て、最終チェックします。

ライト本体に、クリーニング済みの各部パーツを組み付けた所です。






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さて、最後の詰めの作業。

ライト本体とライトカバーの接着です。


純正と同等の防水に用いる材料を使用し、しっかりと密着させます。

美しいだけでなく、純正と何ら変わらない仕上がりを心がけています。





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組み付けて完成です。


内部の汚れ、光の妨げになるロスも完全に取り除きました。

表面も軽くポリッシュし、手触りも良く仕上がります。


更に、本体のは空気循環の為の穴が数箇所ありますが、

フィルターの役目をする物を取り付け、今後曇りにくくしています。


経験上とても有効で、同じ年数が経過しても、曇りの程度は半減します。





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もう一度、クリーニング前の画像です。


新品と比べてしまえば、キレイ好きな方は交換を悩む部分です。

ですがかなり高価な為、破損でもない限り、ためらってしまいますね。





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やはり目がキラッとしていると、クルマの印象が違います。


R230 ヘッドライト フルクリーニング



完成です。