あの作品より、ずっと前に...『13F』(ジョセフ・ラスナック監督作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『13F』(原題:The Thirteen Floor /1999年アメリカ、ドイツ/100分)

監督:ジョセフ・ラスナック

脚本:ジョセフ・ラスナック、ラヴェル・センテノ=ロドリゲス

原作:ダニエル・ガロリー

製作:ローランド・エメリッヒ、ウテ・エメリッヒ、マルコ・ウェバー

音楽:ハロルド・クローサー

撮影:ウェディゴ・フォン・シュルツェンドーフ

編集:ヘンリー・リチャードソン

出演者:クレイグ・ビアーコ、アーミン・ミューラー=スタール、グレッチェン・モル、ヴィンセント・ドノフリオ、デニス・ヘイスバートら

100点満点中75点




 『2012』の監督ローランド・エメリッヒが製作したバーチャル・リアリティを題材としたSFスリラーです。

 今作は1999年製作ということで、だいぶ古さも感じますが、あの名作『マトリックス』(1999年)の数か月前、『インセプション』(2010年)の10年前に公開された異色の作品です。

 もう少し、予算と時間を掛ければ、前述の2作品を凌駕するほどのSF大作になっていただろう

“画期的な”発想

が、今作には盛り込まれています。具体的に言えば、仮想現実の中で自由気ままに振る舞えるという技術が開発され、さらに、仮想現実の下にさらなる仮想現実を作り出せる技術も確立された近未来が舞台であるというのが今作の設定です。


 ・・・なので、やや乱暴ですが、『マトリックス』+『インセプション』=『13F』ということになるんです。(ちょっと・・・わかりづらいですね。スミマセン)


(あらすじ)

 1999年バーチャルリアリティの研究者「ダグラス・ホール」は、最高経営責任者「ハンノン・フラー」の指揮の元、コンピュータ内に1937年のロサンゼルスを再現していた。その仮想世界には、サーバーを通じ、現実世界から“意識”のみ行くことができ、プログラミングされた仮想世界にいる人物になり代わり、あたかも現実を体験するかのように、ロールプレイングすることができるのである。ある朝、彼が目覚めると、自室の洗面所に血まみれのシャツを発見する。だが、「ダグラス」は自身の記憶も曖昧になってしまっていて、なぜそんなものが洗面所にあるかは分からない。そこへ彼の上司である「フラー」が、何者かによって殺害されたという報せが入る。しかも、アリバイがなかった「ダグラス」は、その容疑者にされてしまう。

 事実を究明しようと、仮想世界を保守するエンジニア「ジェイソン・ホイットニー」の協力を得て、バーチャル世界のロサンゼルスに行き、事件について調べる「ダグラス」だが、そこで分かったことは、「フラー」が現実世界と1937年の仮想のロサンゼルスとを頻繁に行き来し、現実ではできない享楽的な“私的”生活を送っていたことや、ある重大な発見をしたということを突き止める。そして、「ダグラス」は無意識のうちにこの仮想現実の世界に巻き込まれていたという事実を知る。