僕と猫 | カノン田丸 正論 say wrong!!
昔、バイトしていた本屋のすぐ近くに小さな公園があった。

休憩時間やバイト後などはそこでオロナミンCを飲みながら一人で一服するのが日課になっていた。

その日もバイトの疲れを癒すべく夜11時頃ベンチに座りタバコを吸っていると、2匹の子猫が僕の方に近づいてきた。

実はそこの公園には、のら猫か捨て猫かは分からないが親子の猫が4匹ほど住み着いているのだ。
周りの住人もそのことはよくそのことを知っており、昼間などはその猫に餌をやっている光景がよく見られる。

2匹の子猫は僕のすぐ前に座り寒そうにお腹を空かせて「ニャーニャー」と泣き出した。僕の目をじーっと見ながら。


ズキュンと来た。


この状況でズキュンと来ない奴はいまい。僕はお金もあまり持っていなかったのだが、心の中で「ちょっと待ってな」と言い近くのコンビニに走り、ポケットに入っていた500円玉で猫缶を買った。
美味しそうに猫缶を食べる2匹の子猫を想像しながら急いで公園に戻る。


猫いなかった。


猫缶を持って公園内を徘徊する僕。夜11時半。ちょっとした変質者だ。間抜けすぎる。
結局その日猫は二度と僕の前に姿を表さなかった。

しかし、いつか猫に餌をやろうと常にリベンジの機会をうかがっていた。

数日後、またバイト終わりで公園に行くと1匹の猫(多分親猫)が近づいてきた。
実は僕は先日の失敗に学び、バイト後公園に行くときは必ず猫缶を持っていくことにしていたのだ。
自分の賢さとタイミングの良さに酔いながら急いで猫缶のフタを開ける。

猫はじーっとこっちを見ている。
餌を求めているに違いない。


フタを開け僕はそっと猫に近づいた。


猫逃げた。


僕切れた。


猫缶飛んでった。