造影CTの日 | 断腸親父の”俺にもいわせろ!!”

断腸親父の”俺にもいわせろ!!”

近頃、この世は腹の立つことばかり!天網恢恢疎にして漏らさず!言わずに死ねるか!いや言わずに死んでたまるか!

今日はCTの検査。肺に転移した腫瘍が拡大していないか、他の臓器に転移していないかを確認するために、胸部単純CTと肝臓の造影CTが本日のメニュー。
いつものように検査着に着替え、ナースに造影剤の注射をするために血管確保をしてもらう。今日はすんなりいかずに結局やりなおし、両腕に絆創膏。やれやれ…。
造影CTは幾度もやってきたが、あの造影剤が入ってきて、かぁーと頭の内側から熱くなるのが大嫌い。最近は少し気分が悪くなることもある。ナースにもそのことを告げると、そのあとにフラフラしたり、痒みを感じたり、嘔吐することはあるかと聞かれ、それはないと答える。本当にその時だけなんだけど、しんどいということが分かってもらえない。

CT室に移動して、シーメンスの装置に横たわる。いつも未来の宇宙船の中にいる自分を想像する。お腹の中にエイリアンが潜んでいるような…、遠い惑星に行くために冬眠処理をされているかのような…。でも、抑揚のない冷たい声が「息を吸って、止めて下さい。」とスピーカーから聞こえてきて、現実に戻る。

操作室から放射線技師が出てきて、造影剤の注射を行う。いつもは遠隔操作なのに、いくらか気を使ってくれているのだろうか?「はい、入っていきますよ。」という声に続いて、大きな注射器から液が流し込まれるのが分かる。ずっと頭の芯のほうから熱くなってくる。すると、大きなくしゃみが止まらなくなって技師が心配顔で覗き込む。少し落ち着いたところで撮影を終えるが、やはりくしゃみが止まらない。

技師に伴われて、ナースのところへ戻ると、心配したナースが顔をみて、発赤があると言い、痒みは?吐き気は?と矢継ぎ早に質問してくる。5分ほどでくしゃみも発赤も落ち着いてきて、気分も元に戻ってきたので、心配ないとつたえると、次回からは主治医に相談してステロイドの投与を検討するようにと指示される。ステロイドでアレルギー反応を抑えることができるらしい。(最初に言えよ!)

以前、FOLFOX治療をしていたときに、やはり発赤と痒みがでてオキサリプラチンのアレルギー反応と診断され、以降治療法を変えざるを得なくなったことがある。あれも20回以上施術した後のことだった。あの時も化学療法法室の医師やらナースやらが飛んできて、大騒ぎになった。あとで、たいしたことないのに…とつぶやくと、呼吸困難で大変なことになる可能性もあるのにと怒られた。

帰り道ふと考えた。もう体が化学薬品を受け付けなくなっているのかもしれない。体が「しんどい、しんどい、もうええ加減にしてくれ!」と叫んでいる声が聞こえた気がする。手術でしんどい思いをさせて、抗がん剤でさらに痛めつけて、それでもがん細胞は増殖をやめない。化学療法を含むすべての治療を止めて、何もしないことを決めて4カ月。体調の良さと反比例するように、腫瘍マーカーは少しずつではあるが、確実に悪化している。
来週の診断で主治医に「あと数カ月」と告知されることを望んでいる自分がいる。もういい加減いたちごっこに終止符を打ちたいと思う自分がいる。そしてその反面、もう少し生きていたいと思う自分がいる。どちらも本当の自分。