一般的な抗がん剤は、点滴、もしくは経口投与されますが、

体の中には5L前後の血液があり、
抗がん剤はいったん、この5Lの血液のプールの中に均等に分布してから
がん病巣に届きます。

ですので、どんな抗がん剤でも、体の中に入ることで、かなり薄く、希釈されます。


動注は、がん病巣が動脈から直接栄養されているという背景を用いた手法で、
がんを栄養する動脈を探し出し、
そこまでカテーテルを誘導し、がんのすぐそばから、動脈内に高濃度の抗がん剤を投与する手法です。

全ての抗がん剤が、濃度を高くする意義があるわけではありません。
分子標的薬、免疫治療薬剤などは、動注の意味は全くありません。
作用機序的に。

また、当院で使用する抗がん剤は、全て、一度全身投与されている薬です。
それでも、投与方法を動注にするだけで効果がでる人がいる。

これが、濃度効果です。

動注が向いている癌腫、抗がん剤には種類があり、
また全ての臓器に実施可能ではありません。

適応は、当院受診のうえ、担当医に直接相談してください。


さて、上記の動注の基本はいっつも書いてきて、いっつも、講演会で話してきたことですが、このブログを新しく見つけた方もいると思って書いてみました。

また、昨日経過を記述させてもらった患者さん本人から、
実際に自分が体感して、予想以上に体の負担が少なく、またがんの症状が楽になり、たった2日でがんの活動性を示唆する採血の一部のCRPが1/3まで低下しました。
全身投与ではこういう即効性はなかなか経験できません。
他の患者さんにも、適応のある方は、ぜひ知ってもらいたいと、このうれしい結果を書いてくださいと言ってくださったので、喜んでいま書かせていただいてます。


動注の魅力は、その局所パワーと即効性です。

そして、そのパワーは(あくまでも効いた場合ですが)半日〜数日で症状や採血で実感できますが、ただ、いい時間は1〜2週間程度で、やはり1度きりの動注では、その後再燃します。

動注は、抗がん剤治療です。
だから、全身治療と同様、繰り返します。
繰り返すうちに、ぐっと良くして徐々に再燃、再燃しきる前にまた実施してまたぐっと良くする。こんな経過でトータルで長期間、がんにブレーキをかけて、がんの縮小や全身状態の改善を目指します。


実際、初診外来でこられる患者さんと何百人とお話ししましたが、
皆さん、勝手なイメージをどうしてももたれてしまいますので、
これはやはり、受診して直接担当医に質問をぶつけてください。
なお、担当医とは僕のことですが(笑)


たぶん、ブログで今まで書いてきたことが、より整理され、
動注やTACEが自分に適した治療なのか、
いつ頃がそのタイミングなのか
理解していただけると思います。


ああ、うちの「昆虫を愛してやまない昆虫ゴルゴの放射線技師(女性)」の話を
書くのを忘れていました。
以前は常勤でしたが、今では僕のカテのときだけ
うちの病院に外勤にきてくれています。
うちのスタッフに愛され、時にバカにされ(笑)
そして驚くような逸話をたくさんもっていて、まあ
うちのチームにはなくてはならない、ナイスなキャラです。

ちゃんと許可をえてるので、
箸でゴキブリを捕まえた話など、今後、読むだけでゾクゾクするような
衝撃談を紹介しますね


今日はここまでとします。