SF的作風で知られる上田岳弘の、『最愛の』 に続くリアリズム的小説。
とはいえ、不条理で寓話的なカフカ的世界というのだが・・・
“ウーバーイーツの配達員をしているK
TIKTokerをしている女子大生のICO
二人の人生が交錯する時
何かが動き始める” (帯より)
“Kは孤独である。
と同時に孤独ではない。
なぜならー
なぜなら、Kには姫がいるから。
『城』 を繰り返し聴くうちに彼の頭に出来上がった「城」、
そこに住まう姫は、高貴で、美しく、上品で、優しく、そしてKを待っている。” (本文より)
もう一人のICO、普通の友達、エリート大学生、金持ちの中年男性、Kとは別のkとその母親、ある大学生、俺・・・ などが登場するが、名はない。
不条理で寓話的なカフカ的世界なのか、それとも何かの暗喩? まあ、システムに組み込まれずに、自ら到達した価値観によって行動する若者を描いているとは、言える。
KとICOが交互に登場する話の展開は、 いかにも村上春樹的で
平易で疾走感があり
知らず知らずに読み終えていた!