…最悪だ。

案の定、英語の小テストは悲惨な結果が想像出来る。
スルー
コーナー
リスタート
なんて単語は出る訳も無く、酷い点数になりそうだった。

とりあえず部活を休み、バスで帰宅。
コンビニでサッカーマガジンを買って帰る。
見出しには『各国背番号特集』と書かれていたら買うしかあるまい。
ラジオを聞きながら雑誌を読み、寝落ちした。

次の日の英語の時間に、テストが返却される。
そこには馬鹿二人、草太と涼助は笑ってた。

草太『やべー98年W杯のヴェロンだ!』
涼助『大丈夫、俺なんてロベルトバッジォ…』

悲惨な二人は笑うしかなかった。
昼を終えた後の英語は眠い。
昼休みに色々あった事も手伝ってか。
とにかく眠かった。

スルー
コーナー
リスタート

色々な単語が頭をよぎるも、何一つ知識に残らない。
それが眠気というもんだ。
きっとこの勝者こそ、点数を取れるに違いない。絶対に負けられない戦いが、そこにはある。
が、昼後の英語には無い気がした。
半分眠りながら、飯伏さんの事を考える。
…長い黒髪の、わりと可愛い子だよなぁ。
…。
……。
英語教師『はい、では小テストしまーす』

マジか…ふいに草太の方を見ると、彼はまだ夢の中である。
眠気は覚めたが、今がJ2降格の危機に直面したのかもしれない…。

佐藤先輩の歓喜の瞬間。

それは僕にとっての悪夢の瞬間でもある。

いや、そんなに悪くない・・・けどね。


『・・・佐藤先輩、重くないけど痛いっス』


佐藤 『あ!ごめん!!』


先輩の使ってるシャンプーの匂い?

石鹸のような良い香りが残る中、先輩は僕から離れた。

倒された僕はとりあえず保留されて、先輩は飯伏さんと握手してる。


・・・さて。ここからどうしたものか。

この足の状況では、自然に立ちあがる事は不可能である。

松葉杖も・・・残念。机の横に立て掛けてある始末。


無理してでも立ち上がる。それしかない。

老人のような動きで机にもたれて、上体の力のみで立ち上がる。


その不自然な動きを飯伏さんに見つかった。


飯伏さん 『大丈夫ですか!?物凄く痛そうですけど・・・』


大したことないっスと言いつつも、差しのべられた手に助けられる。


小さい手だなぁ・・・。


そう思いつつ、イスにもたれる。


佐藤 『?どうしたの足?・・・もしかして骨折!?』


『バカなことやって捻挫しただけですから』


佐藤 『よかった、私のタックルが決定打になったかと思って焦ったわ』


まぁ違う部分には決定打になってますけどね。


胸があたった事について考え、目を逸らしてしまう。


『とりあえず、マネージャー増えて嬉しいっす』


佐藤 『涼くんの彼女、頂きます』


・・・色々と勘違いされてなきゃいいけど。