楽曲の本来持つメロディーはどういう旋律なのか、これを捉えることは重要なポイントです。
たとえば、マライア・キャリーが大ブレイクしていた頃、私がレッスンする生徒さんの多くが、マライアをコピーし、課題曲にしていました。
ところが彼女達の歌は、マライア特有のフェイク、アドリブの部分ばかり熱心に勉強しているように思われる歌い方でした。
結局、曲の美しさ、輪郭が伝わって来ません。
聞き終わった後に、どんな曲だったのかさっぱりわかりません。
そこで、「フェイクをしないで、メロディーを普通に歌ってみて」と言うと、みんな歌えないのです。
フェイクがメロディーだと思っているようでした。

原因は聞く力にあると思います。
曲を聴いてる時に、バックに流れている楽器演奏のコード(和音)も同時に聞くと、大体のメロディーが予想できます。
マライアがフェイクしているところも、そこは音を伸ばせばいいとか、細かく下りずにストーンと落ちるとか、そんな音が聞こえてきます。

スタンダードナンバー等で、色んなシンガーが色んな歌い方をしている楽曲も、そんな聞き方をすれば原曲が見えて(聞こえて)来るはず。
それを捉えた上で初めて、フェイクしたりアドリブをしたりの自由度が出てきます。
最初はダサく感じてもいいのです。

マライアのコピーが最高に上手くって、デビューを果たした福原美穂さんは、この基本メロディーがちゃんと捉えられているから、どの歌もかっこ良く歌えるんだと思います。

確かにフェイクをするとかっこいいのだけど、その練習はそのスケール練習だけすれば十分だと思います。
大切なのは、基本のメロディー(リズムも含めて)はどうなのかということだと思います。