121日目 (士幌~糠平) 幻の橋、タウシュベツ川橋梁。 | 原付日本一周の旅

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~金もないのに 旅をしたくなった~

HONDA CD50 で日本一周の貧乏旅行!

上陸22日目。
夜中に延々と音を立て続ける、大型トラックのアイドリング。
これまでは発狂しかけるくらいに嫌いなものだったが、どうも最近は気にならなくなってきた。
どこでも寝られる耐性がついた、つまり鈍感になったのか。
はたまた単純に疲れているだけなのか。



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今日はここ、道の駅「しほろ」を出発して北へ向かう。
糠平(ぬかびら)湖という所には、なんでも「幻の橋」と呼ばれるものがあるらしい。

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その名も「タウシュベツ川橋梁」。

かつてこの地方に鉄道が走っていた頃、湖の上に線路を渡すための橋だった。
現在では鉄道は廃線となり、湖にダムもできた。

当時とは水位が変わった事により、現在は10月から1月の間は完全に水没しているらしい。

またこの橋の付近まで続く林道は現在は通行止めになっているため、容易に近付く事ができない。

そんな理由から「幻の橋」と呼ばれているのである。


それは是非とも、見に行こうではないか。

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幸いにも今日の天気予報は晴れ。
湖に浮かぶ橋を見るには最高の天気ではないか!

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うん。

綺麗な鉛色!

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天気予報はアテにならないなぁ。
午後には晴れてくれる事を願います。



30分後…。




晴れた♪

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糠平湖に向かっている途中にも、かつて鉄道が通っていた橋梁をいくつか見る事ができる。


第三音更(おとふけ)川橋梁。

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第四音更川橋梁。

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第五…略。

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そしてここは当時の鉄道の駅だった「旧・幌加(ほろか)駅」。

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草に覆われているが、当時のホームが残っている。

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緑色に染まったホームからの景色が、なんともノスタルジックな気持ちにさせてくれた。

かつて人々はここから電車に乗って、帯広あたりまで通っていたのだろうか。

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分岐機までしっかり残っている。

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これもこうやって当時の駅員さんが動かして…


!!

こ、こいつ…動くぞっ!

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と、とりあえず元に戻しておきましょう…。



さぁ、いよいよ幻の橋「タウシュベツ川橋梁」に近づいてきた。

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現在、タウシュベツ川橋梁を見る方法は4つある。

1、湖の反対側にある展望所から見る。

2、有料のツアーに参加する。

3、森林管理署に行き、許可を得た後、通行止めのゲートの鍵を借りる。

4、通行止めの道を徒歩で4㎞ほど歩く。


うむ。
4㎞ぐらいなら歩いて行くのが、金もかからなくて良いんじゃないか?
きっとこの、湖沿いの道だろう。

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という事で、まずはダートを進む!

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でた!これか…。

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なになに?
「一般車両の通行規制」

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つまり徒歩では通行禁止ではないという事だ。


ならば堂々と…

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歩きます!!

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いやぁ、ちょっとしたハイキングみたいで良いじゃないか。

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歌でも歌いながら歩けば、4㎞なんてあっと言う間だ!

ある~日♪

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森のっなっか♪

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熊さ~んにっ♪

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ちょっと待とう…。

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え~と…

食べ物は持ってません。

そして、なるべく声を出しながら歩いて…つまりこのまま歌ってて良いんだね?


あるうひんにゅうぅ~!

もりの~なっかんちょうぅ~!

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くまさ~んにんにくぅ~!

でああ~たちしょん~!!

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はなさくも~り~の~み~○○○○!


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ぉぉぉぉ~…

これはまた土砂崩れてますねぇ~。

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森林管理署に許可をもらっても、バイクじゃ来れなかった…て事だね。

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1時間後…。


ちょっと休憩。

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ようやく半分ぐらいだろうか。
だいぶしんどいぞ…。

そして道もだんだん無くなってきた。

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ここへ徒歩で来た事を、ちょっとだけ後悔してきた…。

けど今さら戻っても、また1時間歩く事になるんだ。

進むしかないだろ!

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あと30分か…1時間か、わからないけど…。

そこに「幻の橋」があるんだ!

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ここまで来たんだから、行くしかねぇだろ!!

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…骨?



鹿の角?

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シカ、やられまくってんじゃねえか!!

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熊の方々が、どうかすでに鹿でお腹いっぱいになっていますように…。





入山から2時間…。


道は途絶え、川に突き当たる。

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それでも、道が崩れて川になったんだ…この先に幻の橋はあると信じて突き進む。

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草をかき分け、道なき道を…森の中をただただ突き進む。

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足を滑らせながら、どこまでも続く斜面をひたすらに…


え~ワタクシ…

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完全に迷いましたっっ!!

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だいたいからして、川の上流に向かって歩いてる時点でおかしいんだ!

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湖からどんどん遠ざかってるという事じゃないか!

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この先には、きっと幻の橋なんか無い。
大きく方向を間違えているんだ。

間違えているとしても、湖からどれだけ進んで来ただろうか。
4㎞、いや5㎞ぐらい…。
水はあとこれだけか、まずいな…。

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その直後。




ガササン!ガササン!!

バキバキバキバキッ…!!!


うぉおおおおおおっ!!!!
出やがったな!!


死んだ振り…いや木の上…いや、崖の下に逃げるか!!


いや…、覚悟はしていた。
それを承知でこの道を進んで来た。

食われる時は食われるんだ。
それが神の御導きであるならば、それに従おう。
この期に及んで取り乱すのはやめよう。

さあ、食ってくれ!



ある程度、覚悟を決めたその時…


鹿「ぴーっ!」


シ…


シ…


シ カ で し た 。

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(ウォーリーを探せみたいになってますが、一応鹿が写ってます)



もうこの頃になると、幻の橋などどうでも良くなっていた。

とにかく生きてバイクの所に戻る事だけを考え、道なき道を引き返す。

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山の形と水の音を頼りに、再び川に戻る。

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とりあえず給水!

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水は綺麗だし薪はあるし、この辺でキャンプしたら最高だろうなぁ。

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おまけに木の棒で突けるんじゃないかと思うぐらい、警戒心の薄い魚がわんさかいる。

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しかしまあ、テントも寝袋もないし…夜は寒さで死んじまう。
とにかく戻ろう。

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通行止めの林道を戻る事、2時間…。



バイクの元に到着。

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無事、生還!!

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最初にこのゲートを見た時は希望に満ち溢れていたなぁ…。




(回想シーン)
「幻の橋というのがあるんですよ!」

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(回想シーン)
「歌いながら歩けばすぐだ♪」

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…。



こいつは地獄の門にすぎなかったんだ…。

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いいか、もう二度と徒歩で通行止めの道を歩かないぞ。

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2014年9月3日
17:00

タウシュベツ川橋梁への到達を断念。




※対岸の展望所より。

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2014.09.03
■天候:曇り~晴れ
■走行距離:60㎞
■総走行距離:13247㎞
□歩行距離:約10㎞


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