上陸10日目。
実に久しぶりに波の音で目覚めた。
だがしかし、どこか懐かしさを覚えない。
北の海は迫り来るような波を立て、旅人の朝を急がせる。
今日は道の駅「わっかない」からのスタート。
まずは20㎞ほど先にある、北海道最北端の地「宗谷岬(そうやみさき)」を目指す。
その後はオホーツク海沿いを南下し、道東と呼ばれる北海道東部方面へと進んでいく。
今日は昨日よりも気温が高いので、Tシャツ1枚で大丈夫だろう。
なんせ、内陸部は終わった。
これからはずっと、標高の低い海沿いを走る事になるのだ。
北海道の夏はこれから始まるのだ!
…。
寒かった…。
いや~。
短い夏だったなぁ…。
しかし海沿いは景色に変化があるため、走っていて飽きない。
この道は「シカに注意」の標識が目立つが、道路の先はすぐ海。
こんな所を、シカが横切る事があるのだろうか。
横切った。
馬と見間違えるほどの大きなシカが2頭、ゆっくりと道路を横断していきました。
シ カ で し た 。
11:00
宗谷岬という地名が出てきた。
おそらくあの岬の先端が宗谷岬なのだろう。
11:20
北海道最北端、宗谷岬に到着。
駐車場に入ると、すごい数の人でごった返している。
大間崎以上に観光地感がすごい。
なんとか人の波を縫って、最先端に出てみた。
この海の43㎞先には、サハリンがあるのか…。
なんて感慨にふけっていても、すぐ後ろはこの賑わい。
最先端の碑などは、写真を撮るための行列ができているほどだ。
さすがに並んでまで写真を撮るつもりもなかったので、駐車場で海を眺めていた。
するとたまたま隣に停まったバイクの方が、この後ろの丘に上がると良いと教えてくれた。
そこは人も少なくてお薦めだと言うので、上がってみた。
なるほど、ここは良い。
ちょうど丘の斜面が、人ごみを隠してくれる。
日露戦争でも活躍したという、旧海軍の偵察台も良い味を出している。
ここを薦めてくれたオッチャンも、同じバイク乗りとしてこういう静かな場所を求めているのだろう。
オッチャンに感謝である。
この丘に上がらずに素通りしていたら、宗谷岬には騒がしいイメージしか持つ事はできなかったかもしれない。
静かな丘が気に入り、2時間ほど滞在してから出発。
30分ほど走っただろうか。
ふと国道を逸れる砂利道が気になった。
とてもビジネスバイクが走るような道ではないが、この奥にただならぬ景色が広がっている予感がする。
やはりあった。
九州の「やまなみハイウェイ」から見た景色の、そのど真ん中に入ったような絶景だった。
見渡す限り、誰もいない草原。
その向こうは海。
どこまでも続く草の丘を、まるで馬に乗るように走った。
バイクでこんなに自由に走ったのは初めてだ。
ここは今までの旅の中でも、一番の場所かもしれない。
偶然辿り着いた、名前も知らないこの場所。
ここに来られただけでも、北海道に来て良かったと思えた。
15:00
秘密の丘をたっぷりと堪能し、また海岸線を走る。
16:00
猿払村に入る。
まだ陽は高いものの、かなりの寒さを感じる。
今日はだいぶ早いが、そろそろ活動限界…。
道の駅に入ります!
このオホーツク沿いは道の駅が少なく、ここを通り過ぎたら次の道の駅までは1~2時間かかる。
この辺で止めておくのが懸命だろう。
うぬ…。
キャンプ場…だと?
これは敷地内にテントを張ったら「金を払ってキャンプ場に泊まれ」と言われるパターンではないか!
しかしこの寒さでは、これ以上の走行は不可能。
という事で、今日はもう少し進んだ所にあったパーキングスペースで野宿。
限りある水を大事に使って一晩過ごします。
朝になったらまた道の駅まで戻って、水を汲んでやるっ。
くぅぅ…。
2014.08.22
■天候:晴れ~曇り
■走行距離:68㎞
■総走行距離:12193㎞
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