碇シンジ | 『エヴァンゲリオン』って?

碇シンジ



『エヴァンゲリオン』って?

碇シンジ

~人物~
本作品の主人公。父ゲンドウ ・母ユイの長男として生まれる。第3新東京市に来るまでは「先生」の所に住んでいた。特技は、 5歳から習い始めたチェロ。エヴァンゲリオン初号機のパイロット(3人目の適格者=サードチルドレン)としてNERV ネルフ) に呼び寄せられた後、葛城ミサト との同居生活や活発な惣流・アスカ・ラングレーとの交流、心を閉ざしていた綾波レイ との触れ合いなどと、エヴァンゲリオン での戦闘という過酷な状況を通じて、徐々に自分の存在意義を見つけ、一人の人間として成長していく。エ ヴァンゲリオン とのシンクロに、天才的な才能を見せる。一人称は「僕」だが、劇場版で一度だけ「俺」と呟いた。

キャラクターデザインを担当した貞本義行によると、シンジのデザインは『ふしぎの海のナディア』の主人公・ナディアのものと基本的に同じである[1]。劇中でもミサトから「かわいい顔」と称されていることから、容姿は端麗であるらしい。

~性格~
非常に内向的であるが、その原因として、幼少時に見た母親ユイの死と、父親ゲンドウ に捨てられたというトラウマが関係している。そのため、唯一の肉親である父親を苦手としているが、解り合いたい、和解したい等と内心思っている。第壱話において「逃げちゃダメだ」と自分に言い聞かせるセリフを発するが、これはシンジの強迫観念を表すだけでなく、監督庵野秀明自身の制作当時の心境を映したものでもある[2]。しかし、比較的明るい展開が続くTVアニメ中盤では、アスカを救うためにマグマの海に初号機に乗って飛び込むなど、勇敢な一面もみせた。

思考的には自虐的且つネガティブで、他人とのコミュニケーションが苦手。友達の相田ケンスケや鈴原トウジといる時はごく普通の中学生である。優柔不断、周りに流されやすい性格と捉えられる事が多いが、庵野の考えでは「自分が決めたら、テコでも動かないような、頑なで他人を気にしない性格」だという[3]。

エヴァンゲリオン とは何か」「使徒はなぜ襲ってくるのか」「何故自分が戦わなければならないのか」「父は何を考えて戦わせているのか」など、様々な悩みを抱きながら戦い続けた姿は、従来のヒーロー像からは大きく異なる

~交流~
NERV内部での日常呼称は少女達が「レイ 」「アスカ」と呼び捨てにされているのに対し、シンジのみは「シンジ君」が通称となっている。レイには「碇君」、アスカには呼び捨てまたは「バカシンジ」、ミサトからは「シンちゃん」と呼ばれ、トウジには「センセ」と呼ばれている。家事をほとんどしない(できない)ミサトとアスカの代わりに葛城家の家事を担当している。

レイに対しては当初、自分とは疎遠になっている父ゲンドウとの親しそうな関係を見ていることもあり、接触がほとんどなかったが、ヤシマ作戦を経て、徐々に心を開いていく様子が見える。以降もシンジ自身は話し易さも手伝って、よく会話したり、ともに行動する場面があった。

アスカからは、愛情と敵意が入り混じった強い執着心を向けられていく。劇場版やビデオフォーマット版追加カットの精神世界の描写でそれが顕著に現れて、シンジのアスカへの恋愛として曖昧な好意とかなりの温度差があったため、劇場版の精神世界での修羅場的なやりとりに繋がっていった。

劇場版では、ミサトもレイも怖いと、薬で眠っているアスカに逃げ場を求め、助けてくれと哀願するが、偶然晒け出された彼女の半裸に欲情して自慰を行い激しく自己嫌悪するという生々しい場面も見られた。度重なる悲劇からの精神的疲弊から心を閉ざしており、その不安定な精神を人類補完計画発動の依代にされサードインパクトを引き起こしてしまう。リリスと融合したレイの意思により、全ての決定権はシンジに委ねられていたため、最終的には「もう一度皆に会いたい」という気持ちで補完計画を破綻させる。緒方恵美からはインタビューの“14歳の証言・その1”より、「子供のわがままの逃げではなく、色々越えて経験してからの拒否で、言ってしまえば大人の迷い。絶望感の果てにもう一度人と関わろうとしたことが彼の成長」と述べられている。