信じる?信じない? ~パーソナルカラー診断~
先日コメント欄にて、
「ゆうこさんのパーソナルカラーは何ですか?」
という質問を頂きました。
実はこれまで意識してパーソナルカラーについては書かないことにしていたのです。
その理由は、私がパーソナルカラー診断そのものに疑問を抱いているから。
コスメやメイクに興味を持つ多くの人がパーソナルカラー診断を受け、
その診断を元に色物を選んでいることは知っているし、
それ自体を否定する気はないし、方法論としてはありだと思います。
だけど、私個人としてはあまり信頼していないので、
これまで自分自身のパーソナルカラーについては言及を避けてきたところがあります。
ただ、以前にも似たような質問を受けたことが何度かあって、
コスメブログを書く以上は避けて通れない話題であるとも思うので、
良い機会ですのでここでパーソナルカラーに対する考え方を書いておきたいと思います。
ただし、これは私のごく個人的な意見ですし、
パーソナルカラー理論に絶対的な信頼を置いている人にとっては、
もしかしたら受け容れがたいものであるかもしれないので、
素人の小娘の戯れ言だと軽い気持ちで読めない方は、読まない方がいいかもしれません。
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そもそもパーソナルカラーというのはいろいろな流派があって、
それぞれに少しずつ診断基準や分け方が違うようですが、
たくさんの色のドレープ(布)を一枚ずつ首から下に当てていき、
どの色を当てたときに顔色がよく見えるか、表情がいきいきとして見えるかを見て、
それによって似合う色の傾向を診断して分類するというものです。
パーソナルカラーではまずイエローベースとブルーベースの2種類の分類があり、
さらにイエローベース=春or秋、ブルーベース=夏or冬と季節名での分類があります。
この4分類で診断する流派が最も原理的なやり方のようですが、
さらに春パステル/春ビビッド、秋ソフト/秋ハード、
夏クリア/夏スモーキー、冬クリア/冬ダークの8つに分類する流派もあります。
それぞれがどのような色分類になるか興味のある方は、
パーソナルカラー診断のサロンHPなどを参考にしてください。
このように4分類や8分類でその人の似合うカラー群を診断し、
アドバイスをするというのがパーソナルカラー診断であり、
一度診断されたパーソナルカラーは、
歳をとったり日焼けをしたりしても変わらないと言われています。
それから、パーソナルカラーは顔立ちには左右されないことになっています。
また、ブルーベースやイエローベースというのは、
似合う色(=顔色や表情がいきいきして見える色)の傾向の分類であって、
ブルーベース=顔が青白いorピンク系
イエローベース=肌が黄色っぽい
というわけではありません。
黄味肌でもブルーベースの人は存在するし、
ピンク系でもイエローベースの人は存在します。
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私が最初にパーソナルカラー診断を受けたのは、
数年前、まだ大学生だった頃です。
茶系、青系、赤系などとひとくくりに言っても、
それぞれ微妙に異なる色がある中で、
似合う物と似合わない物があることに気がついて、
お洋服やコスメの色選びに何らか役に立つのではないかと思ったのがきっかけです。
最初に診断を受けたのは4分類を採用しているサロンで、
お化粧を落としてからドレープを次々と当てていって、
最終的に診断されたのはイエローベースの春。
パステルグリーンや黄味のある淡いピンクをおすすめされたので、
8分類で言うところの春パステルに相当するのだと思います。
予習としてパーソナルカラーについてちょっと調べたりして、
「セカンドシーズン」というものがあると知っていたので、
それについても聞いてみたところ、
「セカンドはありませんね。春ど真ん中のタイプです。
最初に入ってらしたときから、春だなって思ったんですよ」とのこと。
ちなみにカラーだけでなく似合う素材なども教えてくれたのですが、
シフォン系のふんわりしたものやレース、小花柄など、
とにかく女の子らしい、雑誌で言うとCanCam系が似合うと言われました。
当時、ジーザスディアマンテというお洋服ブランドが大好きだった私は、
パステル調が似合うと言われて大喜び。
実はちょっと似合ってないような気がしていなくもなかったけど、
プロに診断してもらったもんね!もう誰にも文句は言わせない!
などと思ったりしたものです。
ジーザスディアマンテをご存じない方もいるかもしれないので説明すると、
数年ほど離れているので最近のラインは知りませんが、
私が好きだった頃はバラ柄にフリルやレースがいっぱいついたカーデとか、
総レースにリボンがついたのティアードスカートとか、
胸元にリボンが死ぬほどついたピンクのワンピとか、
果ては靴にまでレースやバラがくっついた、
日常着ていると「これから結婚式の二次会ですか?」と聞かれるような、
頭アッパッパーなお洋服です。
で、そのサロンでは診断したパーソナルカラーに応じて、
似合う色を使ってメイクをしてくれるのですが、
そのときはパステルピンクとグリーンを使ってアイメイクをして、
オレンジのチークにコーラルピンクのグロスを塗られ、
「顔色もよく見えるし、すっごくかわいいですよ!」
とかなんとか褒められて、その気になってサロンを去る私。
しかし残念ながら周囲からの評判は、
「表情がぼんやりしてる」
「顔赤いけど、どうしたの? 暑いの?」
「今日の化粧、なんか老けて見える」
と散々でした。
とはいえ、急にこれまでと違うメイクにしたのだから、
周囲の評判が芳しくないのも単に見慣れないからかもしれない。
そんなわけで1カ月ほどふんわり系のアイメイクで過ごしたのですが、
自分でもなんだか違和感を覚えるし、
コスメカウンターで勧められる色とも大きく乖離があって、
勧められた色を使ったときの方が自分としてもしっくり来る。
そんなわけで結局、パステル系メイクは早々に断念したのです。
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それから数カ月ほどたって、
まだパーソナルカラーへの関心を捨てきれなかった私は、
あのとき日焼けしていたから誤診だったのかもしれない!
ていうか、そもそもディアマンテなんて着ていったのが駄目だったのかも!
と勝手なことを思いつき、今度は別のサロンに行ってみることにしました。
予断を与えちゃいけないなどと思い、全身黒ずくめで行った若かりし日の私。
2軒目のサロンは8分類を採用しているサロンで、最初に問診がありました。
簡単なアンケートのようなもので、好きな芸能人や読んでいる雑誌、
自分で似合うと思う色や似合わないと思う色などを紙に書いて、
それからお化粧を落としてドレープを当てて診断をしていきました。
診断結果は、ファーストが冬クリアでセカンドが春ビビッド。
にごりのないぱきっとしたカラーが得意とされる分類です。
そこのサロンも一緒に似合うスタイルを提案してくれたのですが、
カジュアルすぎるものは避けて、
かっちりしたデザインや大柄のものが似合うとのことでした。
くすみのある色が似合わないので、
黄味のある茶色やベージュは顔全体がくすんで見えるので、
アイカラーもビビッドな色、アイラインはくっきりと黒で!
と勧められて、そのままおすすめのメイクをしてもらったのですが、
できあがった私はどう見てもバブル時代の化石。
もしくは引田天功のコスプレにしか見えない。
そもそも私は顔立ち自体が派手なので、
濃い色の口紅をべったりと塗ったり、
アイラインを上下黒にしてしまうと、非常に顔が怖い。
「あの・・・顔が怖いんですけど・・・」
とおそるおそる言ってみたところ、
「そう?そんなことはありませんよ。
冬の人はミステリアスなイメージがあるから、
個性的でぱっきりしたメイクがとても似合うんですよ」
確かに、理論ではそうなのかもしれない。
でも、私はミステリアスも個性的も求めちゃいない。
一般的に見てかわいいねと言ってもらえる顔に、
少しでも近づきたいだけで悪目立ちしたくないんです・・・・・・・・・
などとはとても言える雰囲気ではなかったので、そのままサロンを後にしました。
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私が最後にパーソナルカラー診断を受けに行ったのは、
このブログがコスメブログとしてスタートした後なので、1年ほど前のことです。
昔の日記を読み返していたら、1軒目と2軒目のことが書いてあったので、
そういえばパーソナルカラーって結局曖昧なままだなぁと思い出し、
ブログのネタにもなるかなと思ってまた行ってみることにしました。
最終的に診断されたのは、
冬の色はまんべんなくよく似合い、顔色が冴えて目が澄んで見える。
そのほか幾つかのシーズンにまたがって似合う色があるとのことでした。
具体的には夏クリアと春ビビッドの濃いめの色は大丈夫で、
決定的に似合わないのは黄味の強すぎる色と淡すぎる色(アイスピンクとか)、
夏スモーキーや秋スモーキーのような濁った色も避けた方がいいということでした。
あえていうならファーストは冬クリアだけれど、
セカンドは明言しにくいというような診断になりました。
ちなみにそこでは最初にパーソナルカラーを何に役立てたいか聞かれて、
主にコスメの色物を選ぶ参考にしたいと答えていたので、
服装よりもコスメの話がメインになったのですが、
偏光パールは夏の人によく似合うので、夏要素の少ない私には似合わない。
一方で春の要素があるのでツヤ肌でもマット肌でもいけるとか、
そんな感じの説明が縷々ありました。
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こうして三つのサロンですべて異なる診断を受けた私ですが、
そこで、ある一つの結論にいきついたのです。
つまり、パーソナルカラーが分かったからって、
結局は化粧品もお洋服も自分が「似合ってる」と思わなければ買わないし、
それがプロの理論に裏打ちされていようがいまいが関係ないということ。
そして、たとえプロであると言っても、
その診断は非常に曖昧で、主観的であるということ。
パーソナルカラーを3回受けに行っても、
私は自分のシーズンが何なのか未だによく分からないし、
冬も春もあるなんて、そもそもイエローベースかブルーベースなのかも不明です。
とりあえず3カ所中2カ所で言われた「冬」というのを採用するにしても、
どれが冬の色かなんていちいち覚えていられないから、
結局はタッチアップしてみて似合うかどうか、自分で判断するしかないのです。
それに、いくらプロから「これが一番あなたに似合う」と言われても、
1回目の診断のように自分も自分の周りの人も受け容れられない診断なら、
それに縛られながら色を選んだりするのは苦痛なことであるし、
3回目の診断は曖昧だけど一番しっくりきたとはいえ、
よく考えたら「うん、そんなの知ってる」とさえ思ってしまったのです。
私はアイスピンクの口紅を付けると顔がどす黒くくすんでみえるし、
白っぽいグレーのスーツなど着た日には目も当てられない。
そんなことは、パーソナルカラーの理論云々に照らさなくとも、
経験上、痛いほどよく分かっていることだったのです。
だから、もしこの世に自分に似合う色が全く分からないという人がいるとしたら、
そういう人にとってはパーソナルカラーはとても役に立つ理論かもしれません。
でも、いろいろな色のお洋服を着たりコスメをタッチアップしてみたときに、
自分で「これは似合う」「いまいちだな」と判断できる人であれば、
わざわざ数万円も払って受けに行く必要があるかどうかと問われると、
私個人としてはあまりオススメはしない、というのが本音です。
もちろん、パーソナルカラーは理論としてはよくできたものだと思います。
だから、プロやその理論を信じている人からすれば、
私の色選びは間違っているのかも知れないし、
パーソナルカラーとずれているものがあるのかもしれません。
でも、私は「あなたは春です」と言われてもその中には似合わないと思う色もあるし、
「あなたは冬です」と言われてもその中には嫌いな色、付けたくない色もあるのです。
私をよく知る人、たとえば母や周りの友人に、
私には何色が似合わないと思う?と聞いてみると、
大体返ってくるのはオレンジ、グリーン、淡い色。
そしてカウンターでもそういう色を勧められることは滅多にない。
例えば私は成人式のとき、お店の人と家族の反対を押し切って、
白地にパステルカラーの小花が描かれた振り袖を選びました。
メイクも着物の色に合わせて淡いパステルカラーにしてもらいました。
そのとき周りの人は「綺麗な着物ね」と褒めてくれました。
でも、出来上がった写真を見て私は愕然としたのです。
顔はなんだか老けて見えるし、お世辞にも似合っているとは言えなかった。
それに懲りて卒業式のときはお店の人が見立ててくれた通り、
黒地にビビッドな色で大柄の花が描かれた着物にえんじ色の袴を選び、
アイメイクはボルドーとブラウンできりっとした感じに仕上げてもらいました。
そのとき周りからは「とてもよく似合ってる」「知的に見える」と言ってもらえました。
出来上がった写真はとても気に入っていて、大事に飾ってあります。
成人式の時は着物しか褒められなかったけれど、
卒業式の時はその着物を着た私を褒めてもらえた。
それは多分、私の顔立ちや肌の色など全てをトータルで見た感想だし、
周囲の人の思う素直な意見だったと思うのです。
彼女たちは別にカラー理論のプロではないし、
母や友人に至ってはパーソナルカラーのパの字も知らないかもしれません。
だけど、私が普段接するのはそういう普通の人たちであり、
私がお洋服を着たり化粧をすることで魅力的だと見せたい相手もまた、
色だけでなく顔立ちも含めて直感的にいいか悪いか判断する、普通の人たちです。
だから私は、普通の人から見て似合うとか似合わないとか、
私という人間のイメージに合うかどうかくらいしか、興味がないのです。
それに、パーソナルカラーに縛られることによって、
「自分は分類が○○だから、この色しか似合わない」
と思いこんでしまうとしたら、それはとてももったいないことだと思うし、
至極つまらないことだと私は思うのです。
例えばカウンターでとても素敵な配色のパレットを見つけたとき、
自分のパーソナルカラーに合わない色だったら、
タッチアップもしないで諦めるのですか?
あるいは自分が診断されたパーソナルカラーが、
自分の好きな色でなかったり、自分の好きなテイストに合わない色だったとしても、
それが自分に一番似合う色だから仕方がないと諦めるのですか?
あるいは、自分の好きな色が自分のパーソナルカラーではなかったら、
自分では似合うと思っていても、その色を使うのを諦めるのですか?
私だったら、そんなことは御免です。
私は私の好きな色を身につけたいし、嫌いな色は使いたくない。
似合うか似合わないかなんて、結局は主観の問題です。
自分が「いまいちだな」と思う色を強烈に勧めてくる店員さんがいるのと同じで、
プロのパーソナルカラーのアナリストだって、
顔が白く見えれば見えるほど「似合っている」と言う人もいれば、
色の反射で赤みがさした顔を「顔色が良くていい」とする人もいるのです。
人は、失敗を繰り返して成長してゆくものだと思います。
それは、コスメやお洋服を選ぶときだって同じです。
だから周りの人の反応を見たり相談したりしながら、
いろんなものを試していくしかないと思う。
だから、私は今のところ再度パーソナルカラー診断を受けるつもりはないし、
これまでの診断も特に参考にしたことはないので、
迷走中に見えても、それが楽しいんだなと温かい目で見ていただけると幸いです。
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余談ですが、もし似合う色の傾向を見つけたいとしたら、
パーソナルカラー診断よりも着物を着てみる方が私は分かりやすいと思っています。
着物というのは洋服に比べてインパクトが強いせいか、
似合う色と似合わない色の差がはっきり出るような気がするのです。
私がことあるごとにお世話になっている着物屋さんは、
着てみたい色や柄の系統なんかを伝えると、
十着程度の着物をばーっと並べてくれるのですが、
最初に「私はこれが一番おすすめよ」と言って出してくれるものが、
おもしろいことにいつも一番よく似合うのです。
おすすめを一通り着た後で、
お店にある他の物で素敵だと思ったものも着てみるけれど、
着物自体は素敵でも全く似合わないということの方が多い。
で、それを押し切って勝手に自分で選んだ着物を着ると、
前述の成人式の私のような悲惨な結果が待ち受けているというわけです。
ちなみにそのとき最初におすすめされたのは、濃い紫色の着物でした。
洋服と違って形はどれも同じなので、
色のインパクトが強い分、色選びはとても大切。
だからなんとなく、自分の似合う色や柄の系統が分かりやすい気がするので、
似合う系統の色を知りやすいような気がします。