宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、国と県が搬出制限区域(半径10~20キロ)の牛の早期出荷を進めるため、5月末に操業を再開させた都農(つの)町の食肉加工場で3日以降、出荷ゼロの状態が続いている。

 工場が感染多発地帯にあり、ウイルス拡散を恐れる農家が牛の搬入を渋っている。政府の現地対策本部長の山田正彦・農林水産副大臣は5日、早期出荷の方針を転換する可能性も示唆。同区域を「家畜の空白地帯」にする計画は暗礁に乗り上げている。

 加工場は「ミヤチク」都農工場。搬出制限区域近くで唯一、牛を処理できる施設だが、4月20日に同町で感染が確認されたため、家畜伝染病予防法に基づき操業停止となった。その後、国と県は特例措置として5月31日に工場を再開させ、同区域の牛の受け入れを始めさせた。

 しかし、持ち込まれた牛の数は、最初の3日間に西都(さいと)市と宮崎市からの計90頭にとどまる。今月3、4日はゼロだった。

 農家や関係者によると、加工場に牛を搬入するには、感染が集中する移動制限区域(発生地から10キロ以内)をトラックで通過しなければならず、感染が広がることを恐れる農家が多いという。

 県畜産課は「今の処理ペースでは対策が全く進まない。防疫上、感染が未発生地域の加工場を使うわけにもいかない」と頭を抱えている。

 山田副大臣は5日、県庁で記者団に対し、早期出荷が進まない理由として「周囲の農家や住民の理解が得られていない」と説明。その上で、「感染がこれ以上広がらなければ、無理に早期出荷しなくてもよいかもしれない」と語った。

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