今回の妊娠にあたり、読んだ本はこちら。
子どもを選ばないことを選ぶ―いのちの現場から出生前診断を問う/メディカ出版

 ¥1,890 Amazon.co.jp

本の帯に書かれた言葉から。


この本は、障害を持つ可能性のある赤ちゃんが生まれたばかりの

お母さんの手に届けたいと、強く願っています。

予想していなかった可能性をいきなり告げられて、

今後の子育てや生活に不安を抱えているかたたちに

「大丈夫ですよ」とおしえてさしあげたいと思いました。

たくさんの先輩たちがすくすくと育ち、家族とともに

幸福に暮らしていることを知ってほしいと願うからです、

そして、読み上げたのち笑顔が戻ることを、こころから願っています。




今回の妊娠にあたり、自分は高齢妊婦ですので、羊水検査を受けました。


純粋に 「胎児の染色体異常を知りたい」という気持ちもありましたが

医師として 「羊水穿刺を受けてみたい=患者側の気持ちを実感したい」

という、ある意味変な興味があったのも事実です。



羊水検査は、胎児の異常を見るうえで万能な検査ではない。


判明するのは一部の染色体異常だけ。

染色体異常がなくても、出産時の脳性麻痺、早産に伴うトラブル、

先天性の心肺系疾患や視聴覚障害や言語障害もあるし、

成長して疾患発症する場合もある…


つきつめて考えれば、「いつでも、どんな子どもでも我が子」であり、

羊水検査をすることに何の意味があるのか…


「完璧な子供がほしい」と思う、自分のエゴではないのか?


羊水検査で染色体異常がわかったら、中絶できるか?してよいのか?



などなど色々と考えましたが、まあ受けたわけです。

自費で12万くらいだったかな。




で。検査予約してからこの本の存在を知ったのですが、こんな一文が。


産婦人科医の大野Drが、

臨床遺伝医の長谷川Drにインタビューした記事において。


大野   長谷川さんは出生前診断をどのように捉えておいでですか。

長谷川 生まれる前に親が「もう、うちの子じゃないよ」ということと同じです。

      つまり、胎児への虐待ともいえます。 



…ああ、残酷だなあ。



「必要な存在だから生まれてくる」「子どもは授かりもの」

「おかあさんがよかったからうまれてきた」


文中にあるそんな言葉は美しく、命は尊い。


しかし、社会はそこまで美しいものではなく、差別は存在し。


「どんな子ども」でも受け入れられる親もいれば、

そこまで強くいられない親もいるでしょうに。

※ 医学部の病院実習時にまわったNICUで実感しましたしょぼん



まあこの本のコンセプトとしては、

「障碍を持っている可能性のある子どもを産み、悩んでいるママ」向けに

「自分を恥じることもなく、子どもが可哀想なわけでもありません」

と伝えることにあるようなので、出産後に意味を持つ本かもしれません。


私の場合、もし自分の子どもに障碍があったとして、

自分を責めたり恥じたり、子どもが可哀想とか思わない自信はありますが。

この子と自分の運命なんだなーと思うだろう。普段診ている患者さんの病気と同じレベルの話。





ということで、次の記事は妊婦生活の記録として

羊水穿刺体験について書きたいと思います。


…まさかの無麻酔検査で悶・叫び 子どもを選別しようとした罰かなーと思いますた。