サンチアゴ老人は「負けた」か、と考えた場合、「大物を釣る」ことに対しては成功したし、「サメから逃げる」ことにも成功したはずである。ただ、大物カジキを完全な状態で持って帰ってくることができたかどうかについてだけが、「できなかった」ことだといえる。

 

だが、「釣れた」ことはカジキの残骸から村全員が知ったはずで、名誉は勝ち取れたし、嘘つき呼ばわりもされないだろうと思う。

 

 

では、なぜ釣ったカジキを無事に持って帰れなかったのかと考えると、準備不足だったからと言えると思うが、さらに、なぜ準備不足だったかと考えれば、「釣る」ことしか考えていなかったから、つまり「釣り上げる」ことが最終目的で、釣った後のことは考えられていなかったのが原因だと思う。

 

そのために、予想外の大きさのカジキが食い付いてしまったときに、持って帰れなさそうだから逃がそうなどとは考えなかったのだろうし、「釣れた」という幸運のあとに次々と不運がやってくる結果になってしまったのだと思う。

 

釣った魚を「持って帰る」ことが目的だったとすれば、帰り着くまでの不運も予想のうちだったはずで、サメが追いかけてくることは不運ではなく単なる経過だとしか感じなかったかもしれないと思う。

 

 

この老人と海との関係から考えられることは、自分が何をしたいと思っているのか、それが最終目的で間違ってないか、その後のことも考えておくべきではないか、と考えておくことが大事だということではないかと思う。

 

また、サンチアゴ老人がここにマノーリン少年がいてくれたらと頻繁に考えるように、何かを成すには一人では難しい、誰かと協力してやり遂げる必要がある、と考えるべきかもしれないとも思う。

 

 

 

 

相関とは「二つのものの間に関連があること。互いに影響し合うこと。(大辞林)」とあります。つまり、ビジネスには相関関係がある、と言えるでしょう。売る側だけ、買う側だけでは成り立ちません。


このような出だしで、「相関」と、さらに「分散」の意味も考えながら、ある講演のタイトルから考察できることを文章にする機会がありました。

まずは冒頭のように、「相関」の意味を辞書で調べ、続けてこの言葉とビジネスという社会の働きについて共通して言えることを、次のように考え、記載しました。


「需要曲線と供給曲線による、取引量と価格が均衡する点が適正な価格であると決まることからも、関連があること、互いに影響し合うことが重要になると分かります。」


このようなビジネスの一事例として挙げられる最近のできごとを探すと、2018年2月25日発行の日経ヴェリタスに、「スマホゲーム」についての記事がありました。「互いに影響し合う」とされる「相関」と似た、「相乗効果」についてが紹介されています。


「『人気キャラクターなどIP(知的財産)が企業の業績をけん引している』とあり、『スマホゲームを通じて消費者に浸透、関連サービスとの相乗効果が生まれている』と紹介されています。


スマホゲームを配信している企業では、『国内でファンが定着し、安定して課金収入が入ってくるのに加え、海外で新たなファンが増えている』という好循環を見込めることがあるようです。」


この事実を参考に、相関や分散について何が言えるのか、そこから今後にどう生かせるかを考えることで、次のような文章でまとめています。


「まずは国内で販売し、その楽しさをお客様に認めてもらう。その証拠として課金収入が増えたことを活用して、海外でも販売することで、さらに多くのお客様に届ける。この流れは、どちらかがおろそかになればもう片方も失敗につながりかねない関係、つまり『相関』の状態だと言えるのではと感じます。


逆に、『分散投資』のように、ある部分での損失やリスクを補うことを狙って、別の選択肢を用意しておくことも、よく行われる方法の一つだと言えるでしょう。この場合、ある部分の状態が悪くなった時に、別の部分も『つられて』悪くなることは避けるべきだとされています。


特に、ある部分が悪くなったとしても、別の部分でその悪い状態を補えると考えるからこそ成り立つ関係であり、その狙いが達成できなければ、行うべきではない方法でしょう。


しかし、相関関係が望めることに関しては、ある部分が良い状態になれば、別の部分も良くなると見込めます。その結果はより大きな成功として訪れる、大変『おいしい』方法です。


そのような状態を狙うには、考え、時には失敗もしたりしながら、行動し、振り返り、修正を重ねるなどの、多くの努力も必要になるはずです。相関関係をなくすために分散することよりも難しい場合が多いのだろうと考えられます。


ですが、ビジネスの場合、つまり相関関係が見込める場合。


欲しいと思っているお客様がいて、提供したいと思っている私たちがいる場合は、ぜひ相関関係を良い方向に進めることを狙い、多くの困りごとを解決できれば嬉しいことだと思われます。


場合によっては、例えば国内市場と海外市場で、損失を分散させることを狙うのがいいと判断されることもあるかもしれませんが、相関関係がより良くなりそうだと感じられた時には、そのタイミングを逃さずに行動できれば嬉しいことだと思えますね。」


つまり、より良い結果につなげられるビジネスを行うため、まずは、提供する商品やサービスは、社会の困りごとを解決できるものであること、その商品やサービスを必要としている人々がいるはずだと確信できることが必要だと考えられます。


さらに、その商品やサービスが受け入れられる過程において、失敗や損失がまったくないと考えることはできないでしょう。そのため、もし失敗した時は何をどうするか、どう修正すべきかなどを事前に考えておくこともまた、大事なことだと思われます。


その上で、商品やサービスを提供する私たちと、それを手にいれることで困りごとが解決したり楽しさを得られたりするお客様の双方が喜べる、「相関」の関係が作れるよう努力することが重要だと言えるのでは、と述べた次第です。


この記事には、「関連はあるべきか?それとも分散が適切か? その判断の違いとは?」と見出しをつけています。片方だけを選ぶべきだと断言できるほどではなく、状況によってどちらか、または両方を使い分けることが必要かと思われますが、ではいつどちらの方法を採用するかを適切に判断し、いずれその時の判断と採用が間違いではなかったとわかる将来が来ればと、常に気をつけて、理由を持って判断していきたいと振り返るきっかけとなる、言葉と新聞記事との組み合わせになりました。


ビジネスに予測はつきものです。数値や傾向などいろいろなデータから、常に将来を冷静に予測していくことが大切ですね。

 

ですが、予想が外れることもよくあることです。人気が出るはずと思ったが、あまり売れなかったとか、長く続けられる仕組みだと思ったが、思わぬ不便さが判明したとかの出来事も多いのではないでしょうか。

 

2016年10月23日発行の日経ヴェリタスでは、「郵政株 トンネルの先」という1面記事がありました。「郵政グループと主幹事証券会社が描いたシナリオは日銀のマイナス金利政策の導入でもろくも崩れた」と言わざるを得ない現状のようです。

 

 

確かに上場の当時は、「売り出し価格を低めに設定し、値崩れを防ぐ」ことができると、信頼できる分析から判断したのだろうと思われます。しかし、将来何が起きるか、例えばマイナス金利政策があるかどうかは、その時点で判断することは難しいでしょう。

 

郵政3社の場合、当初の予想は外れてしまいましたが、終わったわけではありません。特集でも、「3社がトンネルを抜け出すための条件を探った」結果も分析されています。

 

同様に、経営に関わる私たちにとって、きちんと予測したはずの将来でも、勘違いや、予想外の出来事の影響で、うまくいかないことがあるかもしれないと予想することもまた大事です。

 

ですが、たとえ予想外のことが起きても、再び予測し直し、また行動することで、うまく切り抜けられることもあるはずです。普段から、他の企業や他の分野など多くの事例を参考にしながら、いざという時に冷静に次の手を考えられるよう、予測しておきたいですね。

 

今日の視点

手堅い分析で将来の予測を

→ 予想外の影響があっても、さらに対策を

いざという時の対策のため、予想外の影響から抜け出した事例の研究を!

 

年末に向けてエアコン掃除のチラシが入る時期になってきました。ふと書店に行けば、「片付け」ジャンルの本はずいぶん人気なことが分かります。

 

経営を考えても、ムダを減らすというのは重要な項目だと考えられますが、コミュニケーションすること、つまり「意思・感情・思考を伝達し合うこと」は、その「減らす」項目には当てはまらない、どんな組織であってもなくてはならない能力だと思われます。

 

例えばコミュニケーションの機会が減っているとなれば、少しでも増やすことが検討され、一方的な命令などではなく、双方向の会話が重視されるのが自然な環境ではないかと思われます。


減らすべきものと増やすべきものを間違えないようにしたいものですね。

さて、2016年10月16日発行の日経ヴェリタスでは、「外食に再びデフレの兆し 若者の単価減少が顕著」という話題が取り上げられています。調査によると「夕食以降の外食に支払う『外食単価』」が8月で「3ヶ月連続で前年同月を下回った」ようです。

 

 

特に「節約を志向する若者の『デフレマインド』はこんなところにも表れているようだ」と分析されています。

 

節約を志向した結果として、必要ないと考えたのであれば、例えば外食は減らすことで、別のより有意義な趣味などに資金を向けるのも良いかもしれません。また、会話を楽しみながら食事をするのも「良い」との考えが増えることがあれば、今後外食単価が増えることもあるのではとも考えられます。

 

コミュニケーションとは「互いに」伝達することです。自分では「できている」と思っていても、「互い」の立場から考えた場合にはそうとは言い切れない危険もあるでしょう。

 

相手がいてこそ成り立つのは、ビジネスもコミュニケーションも同じであり、ビジネスにおいてコミュニケーションの上手さは、避けては通れない技術だと言えそうです。

 

今日の視点

→ 外食単価の減少

→ コミュニケーションの増減の影響

→ ビジネスでは双方向の効果を大切に!

 

ビジネスを興したり事業を増やしたりするとき、皆さんはまずはどんな分野での候補を考えるでしょうか。

 

たとえ需要があると分かっていても、苦手分野では早期の成功は見込めないかもしれません。そのため、得意分野で上手くビジネスにならないかと考えることが多いのではないでしょうか。

 

2016年10月9日発行の日経ヴェリタスでは、1面から4面にかけて、「アジア 新VIP旋風」という見出しで始まる特集が組まれています。

 

 

ベトナム(Vietnam)、インド(India)、フィリピン(Philipines)という「アジアの新興市場に投資家が引き寄せられる」ことから、「投資チャンスを探」るために現地取材からうかがえる各国の特色などについて紹介されています。

 

その中のフィリピンでは、「英語を生かす人材大国 中間層膨らむ」として、「都市部を中心に英語が堪能な人材を活用したアウトソーシングの一大拠点」となっているようです。

 

「英語が堪能な人材」がすでにいるのであれば、これから日本語に堪能な人材を集めるよりも成功できる確率は高くなるのではと共感できます。ただ、客観的に検討する機会を逃すと、得意ではない分野に手間をかけてしまい、最終的に失敗だったと判断せざるを得ない状況になるかもしれません。

 

例えば、「クラウド化の波に乗り遅れた」場合、得意分野であるクラウドサービスを提供すべきか、苦手分野ではあるがクラウド化を検討した方がいいのか、それとももっとほかの分野やサービスで顧客に喜んでいただく方法はないかなど、複数の選択肢が考えられそうです。

 

もしくは、クラウドサービスは自社に合わないと思っていたが、得意分野である◯◯と組み合わせれば主力サービスになりそうだ、といった判断ができれば、「潜在的」な強みをすでに持っていたとも考えられ、ビジネスの幅が広がる可能性もあるでしょう。

 

「仕方なく」始めるよりも、常に潜在的な強みも生かした得意分野でビジネスができないかを考えてみるのも良さそうですね。

 

今日の視点

→ アジアの新興市場

→ 投資のチャンスになる独自の特色

→ 得意分野でビジネスをしよう!