偽善者の定義 | 考えすぎ

偽善者の定義

昔から、悪人よりも偽善者のほうが嫌いだった。


だから、ずっと自分のことも嫌ってきた。
僕自身、紛れもない偽善者なのだと、心の底ではわかっていたから。




今の僕があるのは、
多くの支えがあったおかげだ。
ある日、この世界に放り出されて途方に暮れている僕を、
世界の一員と認めて引っ張り上げてくれた人たち。


人間として根本的に大切なことさえわかっていなかった僕と、
辛抱強く、丁寧に向き合ってくれた。
その日、その場所で、限られた時間だけだったけれども、
二度と来ない唯一のその瞬間に、真剣に向き合ってくれた。


でも、ふと思う。
彼らは皆、善人だったのだろうか、と。


決してそんなことはないだろう。
偽善者である僕が、人と真剣に向き合うこともあるように、
僕に手を差し伸べた人たちも、
普段は偽善者だったのではないかと思う。




・・・なんて、身も蓋もない言い方をしてしまったが、
でも、そうだとしたら、
僕もそんな偽善者になりたい、と思う。


むしろ、
偽善者を嫌い、自己嫌悪になっていた今までの自分は、
いったい何様のつもりだったのだろう、と思えるようになってきた次第です。