さて、前回はKGIとKPIを設定して課題を見つけることで、マネージメントの方向性が変わるというお話をさせていただきました。本日は、その課題をどのようにクリアしていくのかのお話です。

代表的なのはPDCAです。他にも目標管理に活用できるサイクルがあります。

OODA(ウーダ)はご存じでしょうか?
元々は戦時においての意思決定のシステムでした。

Observe(観察)Orient(状況判断)Decide(意思決定)Act(行動)

Observeでは、あらゆる情報を収集し、
Orientでは、集めた情報を精査し、
Decideでは、方向性を定め、
Actでは、実行に移します。


PDCAは目標ありきなので、市場や顧客の変化についていけない。だからPDCAは古い!時代はOODAだ!みたいな論調もあります。僕が思うに、企業戦略や事業戦略は絶えず外部環境の変化に対応しなければならないので、OODAが合うと考えています。しかし、社員レベルで考えると、その作られた戦略や戦術の質を高めることが求められるので、PDCAがマッチしていると考えます。

要約すると、事業はOODA、社員はPDCAではないかと。
(職種によってはOODAの方がマッチしているケースもあります)

さらに、TECAというサイクルもあります。これはみなさんどこかで聞いたことがあるトライ&エラーのサイクルです。

Try(チャレンジ)Error(失敗)Check(評価)Action(改善)

まずやってみて、上手くいかないことから学んで、行動の質を高めよう!PDCAも行き過ぎると身動きが取れなくなります。時には大胆に行動をしてみるのも学びがあります。

PDCAもOODAもTECAも、実は欠点が一つあります。それは、一人でやる限りは、その人の能力を上回る成果は出せないことです。いずれのサイクルを回すにしても、第三者のフィードバックを取り入れることが重要です。

御社にマッチしたサイクルはどれでしょうか?カスタマイズしながら自社にマッチした形式を作り上げることができれば自社内で人が育つ文化形成にもつながります。

目標管理に重要なのは、指標決めです。

例えばマラソンでゴールをするタイムを決めたとします。それだけでは不十分なので、通過タイムを設定します。5キロ地点の通過タイム、10キロ地点での通過タイム等。通過タイムを設定することで、最終ゴールに向けて、順調なのか、遅れているのかが把握できます。いわゆる、KGIとKPIです。

「KGI(Key Goal Indicator)」とは、ビジネスの最終目標を定量的に評価するための指標
「KPI(Key Performance Indicator)」とは、KGIを達成するための各プロセスごとの評価指標

営業で例えます。
営業のゴールを売上に設定します。KGI=売上となります。
通過タイムに該当するKPIの設定としては、平均契約単価、商談成約率、アポ率などになるでしょう。

具体的に例を挙げると、
KPI:売上100万円
KPI:契約単価20万円、成約率20%、アポ率1%
必要数:契約5件、商談数25件、営業数2500件

A君例
実績売上:80万円
契約単価40万円、成約率50%、アポ率1%
獲得数:契約2件、商談数4件、営業数400件

B君例
実績売上:80万円
契約単価20万円、成約率10%、アポ率1%

獲得数:契約4件、商談数40件、営業数4000件

このように指標を作り、KPIの管理をすると、各人の強みと弱みが見えてきます。
 

A君は、成約率も高く単価が高いことから商談における仕事の進め方が上手であるということが分かります。しかし、行動量が少ないために、母数が稼げていません。
B君は、成約率も低く、単価は平均値であることから商談の進め方に難があることが分かります。しかし、圧倒的な行動量を担保できています。
A君には行動量が上がるマネージメントが必要であり、B君には商談スキルを高める指導が必要となります。

目標管理とは、KGIとKPIを設定し、目標との乖離した部分から強みと弱みを把握し、マネージメントで補完・強化を図ることです。

先日、業務提携先のご挨拶に金沢訪問してきました。毎年恒例でこの時期に伺っています。そうです。もう一つの目的は香箱蟹です。(香箱蟹:ズワイのメス)毛ガニ最強と思っていた浅井ですが、5年前からは金沢の蟹が最強の座となりました。これからの季節は食事がとても楽しみです。

さて、この時期特有の人事の方の悩みは、内定辞退ではないでしょうか。しっかりとこの時期にフォローしておかないと、早期退職の芽を摘むことができません。入社前に、特に内定者の期待値の操作が必要です。

夏前の内定者は、入社後に仕事のギャップに悩む傾向があり、
夏後の内定者は、入社後に人間関係に悩む傾向がある、
と考察しています。


夏前の内定者は、春から夏にかけての就活で、会社を選ぶという立場でもあります。主に会社を選ぶポイントは、業務内容、自己成長です。
この会社に入ったら成長できる!興味のある仕事ができる!といういわゆるキラキラ入社です。タスク志向でもあります。この層は入社後に理念とはかけ離れた現場のありように、心が折れて早期離職が目立ちます。

一方、夏後の内定者は、一種のあせりが生じた就活時期で、業務内容では選べる立場ではないので人で選ぶ傾向が強まります。人間関係志向とも言えるでしょう。この層は入社後に人間関係がうまくいかない、上司や同僚と関係値が築けないとなると、早期離職につながります。


このリスクを減らすために、期待値の操作が必要です。

例えばあなたが高級レストランに行ったとします。そこでお粗末な対応をされたらがっかりします。高いお金を払えば、良いサービスを受けるのは当然だと期待値が高くなるからです。
一方で、ファーストフード店に行って、特別なサービスを受けなくても、そんなに気になりません。期待値がそもそも低いからです。
コンビニで買い物をして、店員さんがとても印象がよく丁寧だったら、すごく得した気分になります。これは期待値が低い状態で、期待値を上回ったからです。

新人は当然期待を胸に入社してきます。
なので、
・そこまで期待してはいけない
・大変なこともある
・人間関係でも悩むことがある

ということを伝えて、期待値を下げる必要があります。

入社のコミットまでは、期待値を上げないと承諾は取れませんが、上げっぱなしだと、入社後に「こんなはずじゃなかった!」なんてことがありますので、含めて今のうちに会話することが大切です。

ご参考ください。