監督・脚本・編集 アルフォンソ・キュアロン
脚本 ホナス・キュアロン
音楽 スティーヴン・プライス
撮影 エマニュエル・ルベツキ
編集 マーク・サンガー
出演 サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
2013年 アメリカ
スペースシャトルで船外活動中の女性メディカル・エンジニアが、
ロシアのミサイルによって破壊された衛星の破砕片の衝突を受けて、
宇宙空間へ投げ出されてしまう。果たして彼女は無事に地球へ
帰還できるのだろうかと言う、クライマックスだけを見せた作品ですが、
地上600㎞の気圧も酸素もない生存不可能な世界を再現するための、
リアリズムを追求した視覚効果が見事で、冒頭から15分間近くに及ぶワンシーン
ワンカットの臨場感溢れる長回し映像や、これ以上削ぎ落としようのないくらい
場面を切り詰めて、90分間の上映時間に納めてしまった編集と、映画の表現特性を
最大限に生かした「トゥモロー・ワールド」のアルフォンソ・キュアソロン監督の
実験的な試みに圧倒されっぱなしでした。
(ネタバレあり)
生き残るためのサバイバルと人としての再生を描いた本作は、サスペンスに
ジャンル分けされると思いますが、宇宙空間で主人公が何度も味わう恐怖より、
地球に帰還した際に、海に着水した宇宙船に海水が入り込み、
閉じ込められた主人公が溺れそうになる場面に一番の恐怖を感じたのは、
人類にとって無重力空間の恐怖が、情報としてDNNに組み込まれていないから
なのかもしれません。
降り注ぐ陽光に水と土の感触。鳥のさえずりに虫の羽音。そして重力を感じながら、
自分の足でしっかりと大地に立つ主人公が味わう、生きていると言う実感。
地球を生き物として感じ、愛おしく思えるエンディングに、エコロジーに対する
思いが集約されていて、気分が一新される年末年始に観るには、
お薦めの作品です。
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