Virginia ヴァージニア | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら


監督・製作・脚本 フランシス・フォード・コッポラ

撮影 ミハイ・マライメア・Jr
編集 ケビン・ベイリー、グレン・スキャントルベリー、

    ロバート・シャファー

出演 ヴァル・キルマー、エル・ファニング、

    ジョアンヌ・ウォーリー、(ナレーター)トム・ウェイツ

2011年 アメリカ


「ゴッドファザー」「地獄の黙示録」の巨匠フランシス・フォード・コッポラは、

プロデューサーの権力が絶大なハリウッドシステムに嫌気がさして、

1999年の「レインメーカー」を最後に、映画監督の仕事から遠ざかっていましたが、

数年前から低予算のインディーズ映画製作に新境地を見出して、

フランスの映画批評誌カイエ・デュ・シネマ等で高い評価を受けています。

本作では、さらに3つのルール(オリジナル脚本、私的要素を含むこと、

制作費を自己資金で賄う)を自らに課して、コッポラが旅先のイスタンブールで

見たと言う夢の断片(ヴァンパイラとあだ名される、歯の尖った魅惑的な少女に

案内された建物に敷かれている赤い絨毯の床下に、牧師が世話をしていた

20名の子供たちが葬られている)を基に話を広げて、映画青年の頃に帰って、

リスクを恐れず自由に撮った、ゴシックホラーの実験的作品です。


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

エドガー・アラン・ポー原作の映画を数多く手がけた、

師匠であるロジャー・コーマン作品へのリスペクトが込められた本作は、

コッポラ自身を投影させた、創作に行き詰まったミステリー作家を主人公に、

彼の見る悪夢の夢先案内人として、エドガー・アラン・ポーを登場させています。

夢と現実に起こる事件が交錯して、やがて、過去に事故で息子を失っている

コッポラ自身の闇が、主人公の忌まわしい過去に置き換えられて

浮き彫りにされて行きます。

ジャン・リュック・ゴダールにもなれたと公言する70歳を超えたコッポラは、

過去のキャリアを捨てて、本当に作りたかった映画にチャレンジすることで、

その斬新で若々しい映像美によって、それを証明して見せました。

頭で理解しようとすると難解な映画ですが、映像から発せられるイメージを

体感することで、言葉では表現できない人間の不可思議さが伝わってくる作品です。


因みに、本作をレンタルで鑑賞しようと思われている方は、

TSUTAYAでしか扱っていないので、ご注意下さい。


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