![人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら](https://stat.ameba.jp/user_images/20120926/11/bunocio/31/71/j/o0302044812206751529.jpg?caw=800)
監督・脚本 テイト・テイラー
原作 キャスリン・ストケット
音楽 トーマス・ニューマン
撮影 スティーヴン・ゴールドブラット
編集 ヒューズ・ウィンボーン
出演 エマ・ストーン、ヴィオラ・デイヴィス、ブライス・ダラス・ハワード、
オクタヴィア・スペンサー、ジェシカ・チャステイン、シシー・スペイセク
2011年 アメリカ
本作は、19世紀初めのアメリカで、白人が黒人に扮して、歌や寸劇を演じて人気を
博した“ミンストレル・ショー”の中で歌われた楽曲「ジャンプ・ジム・クロウ」から
名付けられた人種分離法「ジム・クロウ法」を題材に、公民権運動が盛り上がりを見せる
1960年代前半、大学を卒業してライターを目指す白人女性が、旧態依然として黒人差別
が続く故郷ミシシッピ州ジャクソンに戻り、非人間的な扱いを受ける黒人家政婦たちの
声にならない声を集めて、一冊の本として完成するまでの紆余曲折を描いた感動作です。
黒人の人種差別を扱った作品は、「野のユリ」で黒人初のアカデミー賞主演男優賞を
受賞したシドニー・ポワチエ(他に「夜の大捜査線」「招かれざる客」が有名)が活躍した
1960年から1970年代にかけて数多く作られ、その後、「ボクサー」「ブレイス・イン・ザ・ハート」
「カラー・パープル」「ミシシッピ・バーニング「ドゥ・ザ・ライト・シング」「アメリカン・ヒストリーX」
「クラッシュ」等の傑作が生まれましたが、最近では、ハリウッドが、ユダヤ人の大物
プロデューサーに牛耳られていることもあって、内政よりもテロやホロコーストに目が
向けられていたので、久々に黒人差別の問題をストレートに扱った映画が制作されたのは、
今年の11月に執行される、次期アメリカ合衆国大統領選の絡みがあるのではないでしょうか。
(ネタバレあり)
本の取材を受けた事がばれて解雇された家政婦が、当て所もなく去っていくエンディングは、
その後に彼女を待ち受ける試練を予感させますが、ディズニーの配給作品らしく、
本編では暴力的な場面を排除して、勧善懲悪の分かり易いファミリー向け映画に
仕上がっています。
参考<主人公が、本編で読み上げる「ジム・クロウ法律書」の内容>
●黒人の男性患者の病室では、何人も白人女性に看護させてはならない。
●白人学校と黒人学校の間では、教科書を交換してはならない。
最初に使用した人種が使い続けること。
●黒人理髪師は白人女性の髪を切ってはならない。
●何人も文書を印刷出版あるいは回覧し、黒人の地位向上を促すべく社会を
扇動してはならない。違反者は収監する。
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