永遠の僕たち | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・製作 ガス・ヴァン・サント
脚本 ジェイソン・リュウ
製作 ロン・ハワード、ブライアン・グレイザー、ブライス・ダラス・ハワード
撮影 ハリス・サヴィデス
音楽 ダニー・エルフマン
出演 ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮
2011年 アメリカ

交通事故に巻き込まれて両親を失くし、自らも3ヶ月間のこん睡状態と、
3分間の臨床的な死を体験したショックから死に取り憑かれ、
廃人同然になった少年が、脳腫瘍で余命3ヶ月を宣告された少女からの愛と、
彼だけにしか見えない神風特攻隊員の日本人幽霊の助言によって、
生きる意味を見出していくラブストーリーですが、
安っぽい死生観に基づいた、涙を強要しようとする難病映画と違って、
主人公の少女が、進化論で有名なダーウィンを敬愛し、
自らも自然観察者として、虫や鳥をスケッチする等、人と動物、自然との関わりから、
世界の法則を見つけ出そうとしているように、死を宗教的な物ではなく、
自然の成り行きとして捉えているところに好感が持てました。
現人神天皇陛下の名を叫んでお国のために死んで行った特攻隊員を、
幽霊として登場させたのも作品の主旨に即したもので、
天皇陛下ではなく恋人の名を呼んで死んで行った事を明かし、
恋人に宛てた最後の手紙を渡せなかった事を後悔して、
「今では死はたやすく、辛いのは愛だと分かります」と嘆く特攻隊員の言葉は、
この作品のすべてを言い表した、心に残る名台詞でした。

因みに、生命を創造したのは神であると言うキリスト教原理主義者が
支配するアメリカで、本作が全く評価されなかったことは言うまでもありません。

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら
主演のヘンリー・ホッパーは『イージーライダー』のデニス・ホッパーの息子

夕日が沈んだら 

死ぬと思い込んでいる鳥がいるんだって

それで鳥たちは朝目覚めたら

生きていることに驚いて


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