監督 リュ・スンワン
脚本 パク・フンジョン
撮影 チョン・ジョンフン
音楽 チョ・ヨンウク
韓国の犯罪映画は、血みどろのバイオレンス物が多いのですが、
出演 ファン・ジョンミン、リュ・スンボム、ユ・ヘジン
2010年 韓国
本作は、検事と企業、やくざと刑事の癒着、組織の腐敗を、
松本清張の社会派推理小説張りのサスペンスタッチで描いた作品で、
韓国人の悲哀や怒りの根底にある恨(はん)の思想を抑えて、
国際的なマーケットを意識した無国籍エンターテイメント映画に
仕上がっています。
互いに弱みを持った登場人物たちが、生き残るために仕掛ける
駆け引きが見所ですが、出世のために犯人を捏ち上げる等
悪事を重ねて、破滅へのスパイラルに陥っていく主人公の刑事が、
カッコ良過ぎて、悪人に見えないところが減点材料でしょうか。
但し、監督のインタビューで、主人公の刑事は、
家族や部下に対する男の責任感の根底にある“長男コンプレックス”が
行動の規準になっていると答えているように、
『ソウル大学』に入学して、『サムソン』に入社する事が、
勝ち組に残る絶対条件として、幼い頃から競争に晒されている韓国人には、
仕事が出来るのに、学歴がないために出世できない主人公の刑事は
同情すべき人物で、監督も刑事を極悪人として設定する事に
臆してしまったのでしょう。
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