監督・脚本 ロマン・ポランスキー
原作・脚本 ロバート・ハリス
撮影 パヴェル・エデルマン
音楽 アレクサンドル・デスプラ
編集 エルヴェ・ド・ルーズ
出演 ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン、オリヴィア・ウィリアムズ
キム・キャトラル、トム・ウィルキンソン
2010年 フランス/イギリス/ドイツ
本作は、元英国首相の自伝出版のために、
ゴーストライターとして雇われた男が、執筆途中で不審な死を
遂げた前任のゴーストライターが残していた資料から、
首相とCIAとの徒ならぬ関係を知る事になり、
陰謀の渦に巻き込まれていくと言うストーリーです。
積み木を崩さないように、ひとつひとつ慎重に積み上げていく緊張感で、
不安を募らせていくサスペンス演出の妙は、
ロマン・ポランスキー監督の真骨頂で、
読み出したら止められなくなる推理小説を読んでいるような面白さです。
CIAの陰謀を扱った映画は、過去に数多く製作されていますが、
これだけCIAに対するネガティブなイメージが社会に定着してしまうと、
私のような疑い深い人間は、闇社会で暗躍する他の何者かによって
情報操作されているのではないかと深読みしてしまうわけですが、
世の中は、そんなに単純に動いているはずが無く、情報の裏の裏を深読み
させているのは、やはりCIAの陰謀であったと言うことも有り得る訳です。
このように、何が真実であるのかあやふやな国際政治に暗躍する闇組織の
活動を、主人公がインターネットによって気付いていく過程が単純すぎて、
核心の部分で興ざめてしまうのが本作の減点材料ですが、正月TV恒例
『芸能人格付けランキング』で、素人の演出と間違えられていた某監督にも
観せたい、誰が観ても納得できる一流の仕事を堪能されたい方には
見逃せない作品です。