イップ・マン 序章 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督 ウィルソン・イップ

脚本 エドモンド・ウォン

撮影 オー・シンプイ

音楽 川井 憲次

アクション指導 サモ・ハン・キンポー

出演 ドニー・イェン、サイモン・ヤム、池内 博之

2008年 香港


ジャッキー・チェンがゴールデン・ハーベスト社で活躍していた時代の、
盟友サム・ハン・キンポーがアクション指導を担当した香港製カンフー映画。
予備知識がなければ、ホラー映画を連想してしまうタイトルが災いして、
劇場公開時に見逃してしまった人が多いようで、ヤフー映画の
ユーザーレビューも27件(6月25日現在)の投稿しかありません。

作品の大筋は、日中戦争の日本軍を悪役にした勧善懲悪劇で、
『争わぬために闘う』を教えとする、普段は温厚な詠春拳の師範である主人公葉問が、
横暴の限りを尽くす日本軍への怒りから、人間凶器へと変貌していく過程が見所になっていて、
日本人には見るに忍びない場面が続きます。
実際に葉問の弟子だったブルース・リーの作品に、同じ内容の『ドラゴン 怒りの鉄拳』があり、
本作の主役ドニー・イェンの新作『レジェンド・オブ・ザ・フィスト』が『ドラゴン 怒りの鉄拳』に
捧げられたオマージュであるように、ジャッキー・チェンとジェット・リーをハリウッドに
奪われた後に香港アクション映画界を支えるドニー・イェンにとっては、反日を利用して、
“民族の英雄”を誇示しようとした国威発揚映画である事は、中国共産党が
まったくストーリーに絡んで来ないことでも分かります。
それにも関らず、日本でも好意的に受け入れられたのは、
葉問が、北部から道場破りにやってきた武術家を一蹴する冒頭場面から、
空手家の日本人将校と対決するクライマックスまで、CGでは作りえないアクションシーンの
切れ味の良さに心奪われてしまうからでしょう。
日本軍将校役に池内 博之、音楽は川井 憲次が担当する等多くの日本人スタッフが
映画に関っています。
日本では、イギリスが統治する香港を舞台にした2作目の『イップ・マン 葉問』が
先に公開されましたが、DVDは同時にレンタルされているので、
間違わずに本作から御鑑賞下さい。

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