製作 ギレルモ・デルトロ
脚本 オリオル・パウロ
出演 ベレン・ルエダ、ルイス・オマール
2010年 スペイン
yahoo!映画オンライン試写会に久しぶりに当選しての鑑賞です。
進行性の視力低下で視野狭窄に度々見舞われ、放置しておくと
失明の恐れがある主人公の主婦が、角膜移植手術を受けて、
医師から4週間の安静を告げられますが、視覚を閉ざされた彼女を
付け狙う“透明人間”と呼ばれるストーカーの魔の手が忍び寄り、
逃げ場のない暗闇の中で究極の恐怖を味わうという、オードリ・ヘップバーンの
名作『暗くなるまで待って』やロビン・ウィリアムスの『ストーカー』を髣髴とさせる
スペイン製のスリラーで、『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロが
プロデュースしています。
主人公と同じ目の病を患っている双子の妹が、密室の中で“透明人間”に
追い詰められて、恐怖の余り首吊り自殺するホラーっぽい場面から映画は
始まりますが、妹の死に疑問を持つ主人公が、身辺調査をしていくうちに、
誰からも存在に気付かれない“透明人間”の気配を感じ始めていく中盤から、
ヒッチコック風のスリラーに変化していきます。
主人公とストーカーが密室で対決するクライマックスに辿り着くまでが
ぐだぐだしていて、話の運びも強引で詰まらないのですが、
“透明人間”を理解不能のモンスターではなく、社会に馴染めない等身大の
人間として表情を見せ始める後半から、ドラマとしての厚みが急速に増して、
絶叫だけの映画で終わらせないところが、何でもありのハリウッド映画とは
一線を画するところでしょうか。
同じギレルモ・デル・トロがプロデュースした『永遠の子供たち』に引き続き、
ベレン・ルエダが主役に抜擢されて好演しています。