リミッツ・オブ・コントロール | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら
監督・脚本 ジム・ジャームッシュ
撮影 クリストファー・ドイル
音楽  BORIS
出演 イザック・ド・バンコレ、アレックス・デスカス、ティルダ・スウィントン、
    工藤夕貴、ジョン・ハート、ガエル・ガルシア・ベルナル
2009年 アメリカ/スペイン/日本

ウィリアム・S・バロウズの同名エッセイをタイトルにした
ジム・ジャームッシュ監督4年ぶりの新作は、映画の冒頭に、
“無情な大河を下りながら もはや船曳の導きを感じなくなった”と
アルチュール・ランボーの“酔いどれ船”の一節が引用されているように、
コミュニケーションの破綻により、管理能力のコントロール不全(リミッツ・
オブ・コントロール)に陥ってしまった現代社会の中で、人間の想像力
の可能性に言及した作品で、主人公の殺し屋“孤独な男”は、想像力とスキルを
武器に、“自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ”と、ある組織から
依頼を受けて、不可思議な協力者に接触しながら、彼の主観が
作り出した世界の中で、目的を遂げるために創造の旅を続けます。

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら
宇宙には中心も端もない

現実は気まぐれだ


マルグリット・デュラスがジャン=ピエール・メルヴィルの「サムライ」を
リメイクする感じ”とジャームッシュ監督がインタビューで答えていた通り、
彼の作品中、最も観念的な作品ですが、終始無言の主人公(イザック・
ド・バンコレ)を狂言回しにして、彼に絡むティルダ・スウィントン、
工藤 夕貴、ジョン・ハート、ガエル・ガルシア・ベルナル等の
ゲストスターたちが演じるボヘミアンたちに、人生、命の意味、
アート(映画、音楽、絵画)、科学等に対する監督自身の思いを
語らせます。

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら
古い映画が好き
昔の世界が見られるわ。

最高の映画って
決して見なかった夢のようなものよ


本作の最大の収穫は、監督がその独創的な音楽に
インスピレーションを得たと言う、
日本のストーナーロックバンドBORISの楽曲でしょう。
彼らの曲を聴くのは初めてでしたが、主人公の旅立ちの時に
流れる『Fuzzy reactor』ほか『Farewell』『Blood swamp』
『Fedbacker』等幻想的な楽曲が作品に違和感なく融合して、
映画のユニークな世界の構築に貢献しています。


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら
グラスの色で中身が違って見える
真実はないのさ
想像の産物だよ

鏡に映る反射像は実物より存在感がある



BORIS Fuzzy reactor


リミッツ・オブ・コントロール スペシャル・エディション [DVD]/イザック・ド・バンコレ,アレックス・デスカス,工藤夕貴

¥3,990
Amazon.co.jp

人気ブログランキングへ