ソウル・キッチン | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・脚本 ファティ・アキン

主演・脚本 アダム・ブースドゥーコス

撮影 ライナー・クラウスマン

出演 モーリッツ・ブライプトロイ、ビロル・ユーネル

2008年 ドイツ


弱冠25歳で長編第1作を監督して、今年で37歳になる
ファティ・アキン監督は、日本で過小評価されている監督のひとりで、
本作も2年間の時を経て、漸く単館劇場で一般公開されました。
トルコ系ドイツ人のアキン監督はこれまでの作品で
移民問題を絡めた社会派の力作を撮ってきましたが、
今回は生まれ育ったハンブルグを舞台にぐっと肩の力を抜いて、
レストラン『ソウル・キッチン』に集う人々の悲喜交々を、
ご機嫌なソウル・ミュージックやR&Bのリズムに乗って描いた、
コメディタッチのアットホームな作品に仕上がっています。

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

アキン監督は、DJという別の顔を持っていて、ハンブルグのクラブで
活躍しているそうですが、クラブでの生活が映画に
色濃く反映されているのではないかと思われます。
個性豊かな愛すべき登場人物たちが作り出す世界は、
向田邦子の『時間ですよ』や倉本 聰の『前略おふくろ様』に
通じる下町のペーソス感があって、ほっとした気持ちにさせてくれます。
特に、『愛より強く』でワイルドで哀感漂う男を演じたビロル・ユーネルが、
本作でも、その時の凶暴性をそのまま持ち込んだようなシェフを演じて
異彩を放っており、男の色気とは何かを再び教わりました。


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

お洒落な本作を肴に、恋人と二人でグラスを傾ければ、
心がひとつになれること請け合いです。
一度ご賞味あれ。


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