監督・脚本 中島哲也
原作 湊かなえ
撮影 阿藤正一、尾澤篤史
出演 松たか子、岡田 将生、木村 佳乃
2010年 日本
ワイドショーを代表するマスコミのネガティブキャンペーンによって
洗脳された国民の9割近くが死刑制度に賛成する我が国では、
『罪を憎んで人を憎まず』という孔子の教えは押し潰され、
それを実践するものは偽善者として排斥されているのが現状です。
本作は、教え子に愛娘を殺された女教師の復讐談ですが、
世間にイメージ付けられた少年たちのモンスターぶりだけを強調して、
被害者の殺人を正当化するストーリーは、感情論だけに終始した
正に魔女狩り的発想以外のなにものでもなく、被害者と加害者が
紙一重の世界にあって、暴力の本質から目を背けているとしか思えません。
『必殺仕置人』の様なたわい無い勧善懲悪物のドラマとは違い、
子供たちを取り巻く今日的な社会問題を内包している作品だけに、
たかがフィクションだからと済ますことは出来ないのです。
良く出来た映画だと思いますが、原作の内容が釈然としないので、
見終わった後には嫌な気分しか残りませんでした。