佐助×幸村妄想2
続きです☆
雨は耳に残る。
普段なら顔を覗かせる太陽も雲に阻まれていつものように大地を照らすことができない。
そのせいか、幸村には雨が肌寒かった。
しかし佐助は言う、「俺様は雨好きだけどね」と。
佐助がそう思うのなら、と幸村も雨降りを好きになってみようと努力した。
そもそも努めて好きになるものではないし、好きになれることはなかった。
「佐助はなぜ雨が好きなのだ?」
そう問い掛けたことがあった。
それに対してふわりと優しく笑う佐助。
「任務は雨の日がやりやすいんだよ。雨音のおかげで敵さんの耳につきにくいからね」
表情と台詞が一致していないような気がしたが、幸村がそれを納得するまで佐助に聞き直すことはできなかった。
そんなことも思い出し、更に切ない気持ちを抱えながら城に戻って、思わず佐助の姿を探してしまう幸村。
自分の描いたシナリオ通りにことが運ぶのであればそろそろ登場するはずなのだ。
「旦那ー、あらら。やっぱりずぶ濡れ。いくら旦那でもひくときはひくんだよ?風邪くらい」
困ったように眉を下げて笑う佐助はいつもの佐助だ。
前髪から滴り落ちた滴にピクリと体を揺らし、幸村はそのまま佐助に吸い込まれるようになだれ込んでいった。
待ち構える佐助はさして慌てる様子もなく、幸村の濡れきった身体を気にせず受け止める。
「んもう、風邪ひいたら旦那のせいだからね」
――いっそ一緒に寝込んでしまえば良いではないか。
幸村は佐助の暖かさで少しずつ心まで温かくなった。
二人が同じ体温になれば良いのにと、幸村は更に佐助の胸元に沈んだ。
「はは、やっぱ俺様雨の日好きー♪」
無言のままぎゅっと佐助に甘えるような素振りを見せる幸村を負けじと抱きしめ返す彼の目線は暖かかった。
【続く】
まるで親と子のようですが、恋人でつ←
従者の包容力のでかさは惚れ惚れしますな(・∀・)