それでは『二課・肉食化宣言』の桐沢さん編です。
どう「肉」っぽく変身してくれるんでしょうか(笑)
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●● 「ネクタイ美味しいですよ」
("ネクタイ"って、食道部分を指すらしいですね。初めて知った~)
桐沢 「バーベキューならハツも外せないぞ」
(ワタシはカルビ♪)
●● 「ああ、そうですね~」
肉の前に並んで張り付いて、あれこれ頭を悩ませる。
私達は、肉・調味料担当だ。
桐沢 「そういや、肉だけってのも淋しくないか?」
●● 「え?野菜は京橋さんが買って来てくれますよ。
天王寺さんはアユ釣ってくれるし」
(京橋さんは、二股の人参とか買ってきそうだな…)
桐沢 「野菜じゃねーよ。ほら、ホタテとか、イカとか。
ホタテは会に酒と醤油入れて焼くのが美味いんだよ」
●● 「ああ、海の幸かぁ。……といえば、アワビ!」
桐沢 「おいおい予算を考えろ。人数分買ったらどうなる」
●● 「あ、そっか……。
じゃあエビ!」
桐沢 「そうだな、そうするか」
●● 「じゃあ調味料は、バーベキューソースと、焼き肉のたれと、醤油と、
マヨネーズと、一味唐辛子と……」
桐沢 「フランクも買ったから、ケチャップとマスタードもだな」
●● 「そうでした。
あ、エビはスイートチリソースつけて食べても美味しいですよ」
桐沢 「おーそれいいな」
●● 「どうしよう、すでにお腹と背中がくっつきそう……」
桐沢 「ハハ。そいつは大変だ」
●● 「あ、この美味しそう」
試食係 「おひとつどうぞ」
●● 「ありがとうございます~。いただきます」
試食係 「ご主人もどうぞ」
桐沢 「ご……っ」
試食係 「あら、違いました?お兄様でしょうか?」
(いやいや、似てねぇだろ)
●● 「い、いえ……あの、彼です」
(そこは笑顔で『主人です』って言って、桐沢さんを恥ずかしがらせて欲しかった…)
試食係 「ああ、そうでしたか。失礼いたしました」
差し出された試食の手羽先を頬張る。
(なんかもう夫婦に間違えられただけで美味しい気がしてくる……)
ついつい2パックを買い物かごに放り込んで、私たちは照れくさい気分のまま足を進めた。
(なんか、ホントに夫婦みたい)
桐沢 「そのうち……」
●● 「ん?」
桐沢 「……やっぱなんでもねえ」
●● 「え、なにそれ」
桐沢 「まーいいだろ」
●● 「……気になります。白状して下さい」
桐沢 「……」
●● 「気ーにーなーるー」
桐沢 「そのうち、あの試食の人に『はい』って言ってやるって、
言おうとしたんだよ!」
(アアーーッ!!桐沢さん、大好きーーーッ!!!
やっぱり結婚するなら桐沢さんだよね!!ww)
●● 「え」
ご主人ですか、と聞かれて頷く洋さんを想像する。
桐沢 「以上!行くぞ!」
●● 「あ、ま、待ってー!」
私はどうしようもなく緩んだ顔で、洋さんに駆け寄った。
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通信中 ……
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桐沢 「捜査に追われないでのんびり歩くのって、気持ちいいなー」
●● 「うん、ですよね」
両手にエコバッグをぶら下げた洋さんの隣を、手ぶらで歩く。
いつもの無駄のない急くような歩き方じゃなく、ゆったりとした足取りで。
いつもの自制した部下扱いじゃなく、思う存分恋人扱いで。
夫婦に間違えられたことといい、恋人っぽく甘やかされていることといい、ニヤニヤが止まらない。
(どうしよう、嬉しすぎる…)
(これ、リアルに嬉しいだろ。
現実にはそんな男にお目にかかったことはないけど!)
●● 「……」
黙ったまま洋さんを見上げる。
穏やかな横顔。
捜査をしている時の厳しい横顔も格好良くて好きだけど……
やっぱり、本来の優しさをそのまま映し出している自然な表情が一番いい。
(やっぱり自然体でしょww)
エコバッグをひとつ奪い取って、開いた手を握りたい衝動に駆られる。
今まではネタだった『自称乙女』だけど、いよいよ本当にそうなってきたかもしれない。
桐沢 「●●?どうした………?」
●● 「へっ。
あ、なんでもないです」
桐沢 「……歩きながら寝てたのか?」
(桐沢さんらしい発言…)
●● 「違う、ちょっと……。
……。」
A 乙女なこと考えてただけ (○)
B ボーっとしてただけ
(ここはストレートにいきましょ)
●● 「……ちょっと、乙女な妄想してただけです」
桐沢 「衝撃的な告白だな。一体どんな妄想してたんだよ……」
(「衝撃的」って…。サラリとヒデェ事言ってる…)
●● 「ほ、ほっといてください」
桐沢 「ハハ。変なヤツ」
●● 「変とはなんですか、変とは」
桐沢 「ほら、行くぞ」
●● 「……はい」
3歩前を歩く洋さんを追いかける。
桐沢 「何ニヤニヤしてるんだ?」
●● 「生まれつきニヤけた顔なんですよ」
桐沢 「そうだったか?」
●● 「そうです」
洋さんは可笑しそうにクスクスと笑って、やっぱりのんびりと足を進めた。
●● 「……。
こ、これは……」
BBQ会場にたどり着くと、セッティングはすでに整っていた。
私と洋さん以外のメンバーは全員座っていて。
2つのディレクターズチェアがわざとらしくぴったりと寄り添って空いている。
(お約束ですなww)
花井 「……」
天王寺 「……」
浅野 「……」
八千草 「……」
京橋 「……」
みんなが、胡散臭いほど爽やかな笑顔で私と洋さんを交互に見つめた。
その瞳は明らかに面白がるような色を宿している。
●● 「……」
桐沢 「こ、これは……つまり……?」
天王寺 「つまり俺らが■■のいい先輩やってことですよ」
(……敬語?タイプミス??)
京橋 「その通りです」
八千草 「ほらほら、どうぞー?二人とも!」
花井 「見ろ■■のあの顔……」
浅野 「……面白い」
●● 「……」
ニヤニヤと笑みを湛える面々を睨んで、最後に瑛希くんに目をつける。
●● 「瑛希くん」
八千草 「あれぇ……。なんだか笑顔が怖い」
(想像に難くないなww)
●● 「私この席に座りたいなー」
八千草 「え……」
桐沢 「え」
●● 「私どうしてもこの席に座りたいなー」
八千草 「……。
は~い……」
おずおずと立ち上がる瑛希くん。
私は素早く空いたその椅子に座った。
私が洋さんに片思いをしていると思い込んでいるみんなは、それをネタにからかって面白がるのが大好き。
休みの日にまで餌食にされたらかなわない。
天王寺 「瑛希、弱いっちゅうねん」
八千草 「だって豊さん、●●ちゃんが今にも投げ飛ばしそうな顔で見て来るんですよー」
(ぜひ投げ飛ばしてほしかったww)
京橋 「そんなことで負けていては、立派な男にはなれませんよ」
花井 「……お前の言う立派な男って……」
京橋 「もちろんサディストなテクニシャンです」
(貴方だけでお腹いっぱいですww)
●● 「ソレれっきとした変態じゃないですか。
どちらかと言えば立派とは正反対です」
(素直なヒロインが大好きですww)
八千草 「あー、僕はジェントルマンなので、遠慮しときます」
浅野 「今一瞬こども店長が思い浮かんだ……」
八千草 「イテッ!今のは刺さった……」
(すまん、何を言っているのかわからん…)
花井 「ジェントルマンっていうのは俺みたいな男のことを言うんだ」
天王寺 「いやお前はジャイアンやろ」
(適切なツッコミありがとう!)
桐沢 「やめろ天王寺、花井が歌い出したらどうするんだ」
(確かに困るね)
しょっぱなからギャーギャー言い合いながら、二課のバーベキューは始まった。
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…という感じで前半戦(?)、終了です。
桐沢さんのイイ男っぷりとヒロインの素敵なツッコミに
一人悶えてますww