Google+における、SKE48の松井玲奈さんのメッセージと握手会問題 | 寒い季節は暖かくしなきゃね
Google+における、SKE48の松井玲奈さんのメッセージが以下のようなものだったらしい。

「握手会でメンバーが傷付いている姿をみました。(中略)言われたら嫌なこと、辛くなること、悲しくなること、みんなそれぞれあると思います。多少は聞き流せても限度があったりもします。全てみんなが同じなわけじゃないけど、自分に置き換えたらわかることってあるんじゃないかなと思うんです」

確かに分かる。全肯定。
今回は、こうした声が発せられる握手会の在り方について、だらだらと書いてみます。

まず、こうした握手会の暴言問題は、今にはじまったことじゃないです。

握手会商法は、AKBによって爆発的に有名になる前からあります。近年のCDやDVD、写真集を買うと握手、というスタイル(それと複数買いによるインセンティブ)は、ここ10年近い文化かもしれませんが、こうした「接近戦における問題」は昔から存在していました。

あるアイドルが、握手会が予定されている1週間前にスキャンダルが報じられました。その時の握手会に出ました。前説の芸人や本人登場に握手がほとんど起こらない静けさ、発言に固唾を飲むファンの緊張感とアイドルのビビりっぷり、そしてスタッフの厳戒態勢。その時にもファンからの僅かな暴言がありました。まぁ、事務所が否定しなかったスキャンダル後なので当たり前ですが、どこかで「言われてもしょうがない」と思ってしまうわけです(もちろん、だからといって自分はそんなことはしませんし、むしろファンとして応援の声をかけました)。

でも、上記のようなスキャンダルに基づく最悪のケースともなれば、絶対何か言うヤツいそうだよね、と想像がついてしまう。「そんなのファンじゃない」という気持ちも分かりますが、そうした暴言(ファンを辞める宣言、裏切り者!など捨てぜりふ等)のチャンスを与えている仕組みが握手会なわけです。それこそ「暴言禁止」というルールを作るなんて有り得ないでしょうし。

別に、それによる握手会の是非を論じたいわけじゃないです。
それだけ歴史が古いイベントの仕様の中で、近年(インターネットで自由に発言できるからでしょうけど)、タレント側から握手会に対するネガティブな発言が目立つようになりました。

握手会は接近戦としての即効性がある代わりに、リスクもあります。それこそハローの握手会でも「指輪やアクセサリーを外してくれ」というアナウンスからも分かる通り、直接的な危害の恐れもある。とにかく直接・間接含めた危害によるリスクはたくさんあるわけです。

アイドル側からの発信は「暴言は嫌」というものです。ただ、前述のように握手会(接近戦)は、イベントの在り方として、暴言も暴力も存在し得る「そもそも危険なやり方」だという認識も必要だと思います。これは、アイドルの娘に自分でリクスヘッジせよ、ということではなく、主催者や事務所の周りの大人が「そこを理解せよ」という話です。

たぶん、この暴言問題は語りやすい(ファンにも理解してもらいやすい)話題なので、メンバー自らが発信したんだと思います。けど、実態としては「それとは別の嫌なこと」も握手会には数多く潜んでいます。握手会を前向きに捉えられるアイドルもいますが、凄まじい緊張と疲弊を伴うと感じているアイドルもいます。

そして、何度も携わっていればお互いに分かりますが、結果的に「いつも同じファンが来る(買っている)」「そのファンが複数枚買ってループする」……それが自分らの人気を支えている(セールスを支えている)仕組みであり、その代償が握手会なんだ、という構造を(アイドル自身が)どう感じるか。

無論、握手会には新規ファンも来ますし、女性ファンもありがたいでしょう。そうしたことが心の支えだってこともありますし、ファンとの交流によって元気を貰う、なんて話をするアイドルもいます。激励によるプラス効果も十分にある。大半はそうした穏やかなイベントなのかもしれません。そこは分かっています。だから、接近戦を全否定するわけじゃありません。ただ、握手会はCDセールスへの加担というプラスメリットもありますが、そことは別のマイナス(デメリット/リスク)も確実に存在する。だから、今回アイドル自らがわざわざメッセージを発したわけですよね。

そして、こうしたプロフィットとリスクの関係が同じビジネスの次元で見通せれば良いのでしょうが、ここでのリスクは「アイドルの娘の感じ方次第」のようなことになるので、非常に勘定しにくい。収益増という確実な数値的プラスに対して、「もうキモ過ぎて嫌っ」というマイナス。差引し難い。

ちゃんとそうした部分を見つめ直していってほしいですね。

個人的に、アイドルの握手会にはいくらでも参戦したことはありますが、歌を歌わないグラビアアイドルなどであれば、そのルックスから「握手ができるだけで満足」とか「2ショットチェキが撮れて嬉しい」ってあります。

ただ、そのアイドルの生業が歌手の場合、やはりイベントでは歌の魅力をアピールして貰いたいから、握手会などの接近戦に魅力は感じないんですよ。けど、猫も杓子も握手会を開きます。口の悪いファンが、AKB勢のことを「握手会のプロ」と言っていましたが、アイドルとして売れる条件が歌唱力でもなく、パフォーマンスでもなく、「握手会の対応力」だとしたら、これは悲しいことです。

だから、アイドル業界に携わる方々が「手っ取り早く握手会をやっとくか」という風潮には辟易です。「毎週握手、たまに歌」という状況は、それこそグラビアアイドルが歌をリリースした時の展開に似ています。グラビアアイドルは、歌が本職じゃないので、握手会のほうが断然多いですが、たまに歌イベントもある、みたいな(歌イベントの場合は出演費を上乗せできることもあるため、下手くそでも歌をリリースして営業商材として使う、なんてこともあります)。ただ、今や歌が本職なのに、実態はグラビアアイドルと変わらず「たまに歌」になっちゃってるアイドルも見受けられます。

とにかく、どこかで握手会を見直す必要は感じます。
これについては、さまざまなファンが色んな意見を持っているでしょうから、特に書きません。自分も握手会の撤廃を言いたいわけじゃないですから。

ただ、この手の暴言問題について、AKBやSKEではアイドル本人が声を上げることが多いですが、これは握手会の頻度や対応人数が多いからで、大なり小なり問題や不満因子、リスク、デメリットはあります。某所では、握手会のみならず、デート権などアイドル自身を身売りしていくような「特典」があります。ある種のエスカレートとも言えるでしょう。それしか売り用が無い/それで売ることが、事務所もアイドルも合意されている「売り出し方」であれば、文句も言えないでしょう。

しかし、(自分が問題視している根っこには)本来「歌で勝負したい。ステージパフォーマンスをみてほしい」というアイドルの活動展開をしていくべき中で、割と安易に握手会が設けられる。だからこそ、ちぐはぐな部分がでてくるんじゃないか、なんて思えるのです。

なんかとりとめもありませんが、まずはスタッフサイドでしっかりと状況を見つめ直してもらいたいですね。そして握手会の存在意義の明確化と、それが正しく機能するようなやり方を考えてほしいです。