岸博幸・慶大院教授インタビュー「加計学園問題は改革つぶし」 | KHのアメーバブログ

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テキトーなタイミングで、テキトーにコメントします。

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1週間あまり前ですが、2017年6月12日 23時48分、産経ニュースに、

『岸博幸・慶大院教授インタビュー 「加計学園問題は改革つぶし」「前川は官僚のクズ」』 

というタイトルの記事が掲載されました。

http://www.sankei.com/politics/news/170612/plt1706120032-n1.html

 

 

 

通産省(現経産省)の元官僚の岸博幸・慶応大大学院教授が、前川・前文科事務次官に対してかなり厳しく批判しています。

 

 

その批判のあまりの厳しさにブログ主は一度はこの記事を取りあげるのを取り止めていました。

 

 

慶応大学大学院教授の岸博幸氏

http://www.sankei.com/politics/photos/170612/plt1706120032-p1.html

 

 

  

しかし、昨日、最近の前川氏がある雑誌のインタビューで、主要新聞社の掲載記事では伝えられていない事を語っているのを目にしました。これを本ブログで取りあげたいと考えました。

 

 

本ブログでは、次のエントリー以降で、前川・前文科事務次官が雑誌のインタビューで何を語ったのかについて取りあげるつもりですが、その前に、バランスを取るために、まず今回のエントリーで、岸博幸氏のインタビュー記事を取りあげます。

 

 

 

岸博幸氏 「加計学園問題は改革つぶし」

 

※産経ニュースから転載させていただきます。

 

 

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、民進党など野党やメディアの安倍晋三政権批判が続いている。「総理のご意向」と記載された文書の有無が議論を過熱させている一方、問題の本質であるはずの国家戦略特区制度に関する議論は置き去りにされている。小泉純一郎内閣の竹中平蔵元経済財政担当相に秘書官として仕えた元官僚で、改革の現場に精通した岸博幸慶大大学院教授の意見を聞いた。(杉本康士)

 

 

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 文部科学省の前川喜平前事務次官が「総理のご意向」で「行政がゆがめられた」と証言した。だが、特区を活用した加計学園の獣医学部新設に問題があるのであれば、国家戦略特区諮問会議やワーキンググループで異議を唱えればいい話だった。でも現実には止められなかったのは、文科省には説得材料がなかったからだ。こんなことで行政がゆがめられたというならば、政治主導は全て行政をゆがめることになる。

 

 安倍首相の「ご意向」は岩盤規制の突破だった。仮に「総理のご意向」が働いたとしても、間違った行政は修正するのが当然だ。首相が規制改革の意向を表明しても実現できていない改革なんて、腐るほどある。だから、「総理のご意向」があるから逆らえなかったというのは間違っている。

 

 安倍内閣が人事権を握っているから逆らえないともいわれるが、本当に日本のために必要だと思うなら、クビを恐れずにやればいい。自慢する気はないが、竹中氏の秘書官として不良債権処理をやっていたときは、竹中氏が失敗したら私も辞めるつもりでいた。人事権を握られたぐらいで何もできないなんて、その程度の志しかない人間が偉そうにモノを言うなと思う。

         

         

        

大事なのは、非違法性と道理

  

       

 前川氏の座右の銘は「面従腹背」だそうだが、論外だ(#1)。そんなことを正々堂々という官僚なんて官僚のクズだと思う。一時期とはいえトップを務めた人間がそんなことを言えば、文科省がそういう組織に見える。文科省の後輩たちに迷惑をかけると思わないのか。

 

 政治に対する行政の忖度も問題になっているが、忖度のない国なんてない。米国でも国際機関でも、忖度どころかコネまでまかり通っている。大事なのは、第1に違法性があることはしちゃいけない。第2に理屈が通らないことはやっちゃいけないということ。これは民間企業でも同じだ。

 

 加計学園の獣医学部新設が認められた裏で、首相が政治献金をいっぱいもらっていたとなると駄目だが、そんな事実はない。理屈も通っている。四国に獣医学部はなかったし、平成21年の時点で四国4県の知事が連名で四国に獣医学部がほしいと言っている(#2)。新設には十分に合理性がある。

 

 

官僚主導行政と規制改革 

 

  

メディアは前川氏の発言を一生懸命報道するが、官僚主導の行政に戻った方がよいのだろうか。民主党政権が誕生した頃は、「官僚主導はいけないから政治主導にしなければならない」とみんな言っていたはずだ(#3)。獣医学部新設を問題視するメディアは、宗旨変えしたのだろうか。

 

 民進党は国家戦略特区制度の停止法案を参院に提出した(#4)。民進党は結局、政治主導で改革するのは嫌で、官僚主導で改革がない行政が好きなのではないか。

 

 行政の現実を考えると、規制改革が進むかどうかは担当の役人が能力、気概、根性をどれだけ持っているかで変わる。獣医学部の特区に関しては、内閣府に藤原豊審議官という規制改革の鬼みたいな人間がいた。

 

 規制改革を頑張ると、他の役所から恨みを買う。だから藤原氏は、メディア上で「首相の意向を使って圧力をかけた」と個人攻撃みたいなことを言われている。改革したい人間がびびってしまいかねない。

  

  

加計学園をめぐる安倍政権の対応 

  

  

 安倍内閣の国家戦略特区制度は、改革としてはそこまでインパクトのある改革ではない。規制緩和は全国一律がよく、私は安倍政権の規制改革は評価していない。アベノミクス、成長戦略、働き方改革と言っても潜在成長率は4年半で下がっている。唯一の改革の成果が国家戦略特区だった。

 

 改革しない安倍政権がちょっと改革を進めたら、野党とメディアが寄ってたかってつぶしにかかる。これでは改革を進められない。今回の加計学園で分かった事実は、日本経済の将来は暗いということだ。

 

 加計学園をめぐる安倍政権の対応に全く問題がなかったわけではない。「総理のご意向」に関する文書について、菅義偉官房長官は「怪文書だ」と言い切ってしまった。本来はそこまで盛り上がる案件ではないのに、文書の存在をめぐる押し問答でワイドショーの時間が使われている。

 

 政府が軌道修正して、文書の存在を追加調査すると発表したのはよかった。客観的事実を全部出せば、政府が負けるはずがない。

 

 前川氏の次官時代の「出会い系バー」通いも、ワイドショーや週刊誌で報道が盛り上がる一因になった。官僚は頭がいいから屁理屈は作れる。出会い系バー通いを暴露されて前川氏が考えたのが、「女性の貧困の実地調査」という屁理屈だったのだろう。だが、所詮は屁理屈に過ぎず、リアリティーは感じられない。

 

 

(産経ニュースからの転載はここまで)

 

  

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(#1) 産経ニュース、2017年6月3日 5時4分掲載の記事より一部抜粋。

 

「私、座右の銘が『面従腹背』なんです」。学校法人加計学園の獣医学部新設計画をめぐり、退任後に首相官邸批判を始めた前川喜平・前文部科学事務次官が1日、テレビ朝日番組で言い放ったセリフである。(途中省略)

 「役人の心得として面従腹背の技術、資質は持つ必要がある」。前川氏はこうも得々と語り、独自の吏道論を披露していた。文科省特有の文化・体質なのか。小欄は他省庁では、政治家や上司にも堂々と反論し、煙たがられながら首脳にまで栄達した官僚を知っているが。(途中省略)

 文部省(当時)で前川氏の上司だった加戸守行・前愛媛県知事は5月31日付の愛媛新聞インタビューでこう嘆いた。「(前川氏は)『行政の在り方がゆがめられた』と言っているが、その前に獣医師不足を解決できていない文科省の態度を反省すべきだ」。

 「圧力は一切ない」と明言する安倍晋三首相自身は周囲にこぼす。「私が文科省に指示するんだったら、役人じゃなく直接大臣に言うよ」。なるほど第2次安倍内閣以降の歴代文科相は、3人とも首相と同じ派閥の仲間である。』

http://www.sankei.com/column/news/170603/clm1706030003-n2.html

 

 

(#2) 産経ニュース、2017年6月15日 1時1分掲載の加戸守行・前愛媛県知事インタビュー記事より一部抜粋。

 

『私の知事時代には鳥インフルエンザが発生し、米国では狂牛病が発生した。22年には口蹄(こうてい)疫が発生したが、獣医師が足りず大わらわだった。

 調べると、県庁への志望者が不足しているゆえに公務員獣医師を採用できない。そのため、鳥インフルエンザや狂牛病やらで獣医師が手いっぱいなのに人手が足りないのだ。

 しかも、愛媛県だけでなく、四国4県すべてがそうだった。定年の人にも定年延長して残ってもらって、悲鳴をあげている状態だ。農家が牛や豚が病気になったら頼りにする家畜衛生試験所の技師も獣医師だが、そこも人が埋まらない。

 調べてみたらなんてことはない。獣医学部の入学定員は、神奈川県以東が8割、岐阜県以西が2割となっている。私立大学のほとんどは東京にあり、圧倒的なシェアを持っている。

 だから、こっちで獣医学部を作るものなら、学生を奪われることになるから、「俺たちの縄張りを荒らされる」と反発するわけだ。

国立大学はかなり充実した教育をしているが、1つの大学でも30人程度しか養成していない。獣医師不足を解消するには、獣医師をもって来る、しかも私立大をもって来るしかないとなった。

 加計学園の話が来て、四国4県の知事が連名で「四国に獣医学部を作ってくれ」「認可してくれ」と動いたわけだ。

 すると“壁”にぶちあたった。今度は獣医学部の定員を増やせないという。』

http://www.sankei.com/politics/news/170615/plt1706150006-n3.html

 

 

(#3) Yahoo!ブログ、2009年6月4日

https://blogs.yahoo.co.jp/shikokunohoshijp/49974845.html

朝日新聞GLOBE、2009年6月8日、

http://globe.asahi.com/feature/090608/side/06.html

など。

 

(#4) 民進党ホームページ、2017年06月08日掲載記事「国家戦略特区法停止・見直し法案を参院に提出」、

https://www.minshin.or.jp/article/111978

 

産経ニュース、2017年6月16日 7時4分

http://www.sankei.com/region/news/170616/rgn1706160005-n1.html

 

日経新聞、2017年6月5日 2時30分、『戦略特区テコに岩盤規制砕け』より一部抜粋。

 

『ここまで的を外した法案は珍しい。民進党の桜井充参院議員が近く同院に出すと表明した国家戦略特区廃止法案である。施行から2年内に特区廃止を含めて検討するよう政権に義務づける内容だ。(途中省略)

 そもそも法的な根拠がないままに文部科学省が半世紀あまりにわたり、行政指導で獣医学部の新設を阻んできたことこそが岩盤規制である。既存の学部や獣医師が不利益を被るというのは、競争を嫌がる供給側の理屈にすぎない。(途中省略)

 医学部も同様だ。今春、千葉県成田市の戦略特区で国際医療福祉大が医学部を開設させた。特例を除くと新設は38年ぶりだ。新薬開発など医療技術は高度化している。参入規制にあぐらをかく既存医学部に、時代に即応できる医師を輩出させる力があるだろうか。

 加計学園の理事長と首相は友人関係にある。この間の経緯を白日の下にさらすのは当然だが、戦略特区を悪者扱いするのは、それこそ筋が悪すぎる。』 http://www.nikkei.com/article/DGXKZO1729204005062017PE8000/