心に響いた「駆け込み乗車は、おやめください。」という言葉を聞いた時の話です。
改札の手前でプルルル・・・と発車のベルが鳴りました。
その日は急ぎの用があったため、間に合うかな、とダッシュで扉に向かいました。
プルルルルル・・・・・・
・・・な、なんとか、、セーフ!
と、次の瞬間背中をドンッ!!と、突き飛ばされた、
また次の瞬間背中の方でバタン!!!
と、音がしました。
!?!?!?!?!
な、なんだ!?
振り返ってみると、扉に靴を挟まれ大の字に倒れている人が。
一瞬の出来事で何が起こったかパニックになりました。
時が止まったかのように、私を含めそこにいた人達が、その倒れている人を無言で見ていました。
そして・・・あっ、後続がいたのか、とようやく理解しました。
ギリギリ乗車出来たことに安心して、扉の前に立ち止まった瞬間、自分もと後から駆けて来た人が、突然扉の前で立ち止まった私を、思わず突き飛ばして入った瞬間、扉に靴を挟まれ倒れた、と言うことでした。
真剣白刃取りのごとく、靴を挟んだ扉が開き、その人は静かに立ち上がり、私に声を見ることもなく、別の車両へ歩いて行きました。微かに足を引きずっているきがしました。
私は、
「な、なにするんだ!」とも
「立ち止まって済みません」とも
「大丈夫ですか?」とも、
言いたいような、言えないような、何とも微妙な気分で、
その、
「何で立ち止まるんだ!」とも
「突き飛ばしてすみません。」とも
「イタタタ・・・」とも
言いたげで言えなそうな背中を、ただ、見ていることしか出来ませんでした。
その静けさの中で、
「駆け込み乗車は危険ですので、おやめください。」
と、車内アナウンスが響き渡り、電車と共にまわりの時が動き始めました。
時間が進むにつれて、私は冷静になり、何より迷惑を被った乗り合わせた人達に、恥ずかしい気持ちと、申し訳ない気持ちになりました。
もしかしたら神様が、
駆け込み乗車をした私に「突き飛ばす」という罰を、突き飛ばしたその人に「真剣白刃取りからの床叩きつけ」という、それ相応の罰を下したのかも知れません。
駆け込み乗車は危険ですので、やめましょうね!
by飯田